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Present for You



 ラヴコレ2013冬で配布しましたアリスのペーパーに短編一つ追加しました。
 ・クローバー設定・メア様優位なナイトメアvsグレイ
 ・ジョーカー設定・グレイ×アリス(追加部分)
 ・ダイヤ設定・駅組+アリス
 となっています。
 バレンタインSS代わりに捧げます。





~CLOVER~

「ああアリス、此処にいたのか」

 ナイトメアの執務室でアリスの姿を見つけたグレイはホッとした表情を見せる。

「どうしたの?」

 何か約束をしていただろうか? と記憶を辿るアリスの視線は彼の顔から、手に持った箱に移動する。
 失礼ながら彼には似合わない花柄の模様がプリントされた箱、グレイもすぐにアリスの視線がそれに向けられている事に気付く。

「これを君に渡そうと思ったんだよ」

 箱の中には、一口サイズのチョコレートが六個入っていた。花の形をしたそれには見覚えがあった。
 以前の会合前に街を見回っている時にアリスが思わず見入っていた物だ。

「グレイ、覚えていたの?」
「ああ。食べてみたいと言っていただろう? 休憩時間の間に買って来たんだよ」
「……ありがとう」

 お菓子を貰うなんて、まるで子ども扱いだ……と思う。
 けれどそれ以上に自分の事で彼が何かをしてくれるのが嬉しいと感じる。

「今は……まだ仕事中だったか、済まない」
「ううん。ついでにこれを運びに来ただけだから大丈夫よ」

 これ、と言いながら両手で支えていた書類を軽く上に持ち上げる。

「ナイトメアに追加の仕事なんだけど……本人には逃げられていてね。私は探しに行く代わりにこれを置きに来ただけなの」

 他の皆はナイトメアを探している最中だと説明すれば、グレイは大きく溜め息を吐く。

「仕方ないな……俺もそれに加わるか。君はこれから休憩だろう? ナイトメア様の捜索は俺達に任せて、君はちゃんと休みなさい」
「でも……」
「休憩はしっかり取りなさい、いいな?」

 グレイのにこやかに微笑んだ表情に圧され、アリスは頷く事しか出来ない。

「良い子だな」

 子ども扱いするようなその言動に、やはり複雑な気持ちになる。
 けれど、頭を撫でるグレイの大きな手の感触は心地よくて、嬉しくて。もっとこのままでいたいと思ってしまう程だった。


        ○●○●○●


「……美味しい」

 自室に戻り、グレイから貰ったチョコレートを一つ食べる。もう一つ食べようと二つを手に取ったのと、

「私にも食べさせてくれ」

 この部屋ではするはずのない声が聞こえたのは同時だった。

「えっ!?」

 一瞬だけ視界が歪み、それが正常に戻った時、目の前には脱走中のナイトメアがいた。

「ナイトメア……?」

 おかしい点は多々ある。けれどそれに関して本人に尋ねるよりも先に、これが夢の中なのだと気付いた。
 彼の服は、今のクローバーの国でよく見る物ではなくハートの国で……夢の中で会う時だけの姿だった。

「勝手に眠らせないでくれる?」
「この方が二人きりになれるだろう? 君は最近グレイとばかりいるからな。私とも会ってくれ」
「それは貴方が仕事をサボってるからでしょう? 真面目にすれば嫌って言う程会えるわよ?」

 アリスにしてみれば当然の事を言ったつもりだが、それはナイトメアの望む答えでは無かったようだ。

「仕事以外で、だよ……君がこの塔に滞在してから二人きりになれたのは数える程度だ。それなのにグレイとはよく一緒にいるだろう?」

 私には構ってくれないのに……とナイトメアはアリスの頬に触れる。

「っ!?」

 グレイの手よりも小さくて、冷たいその感触。
 ただそれだけの事なのに一瞬でも動揺してしまった自分が悔しいアリスは

「何……ヤキモチ? 寂しかったの?」

 と少しだけ彼を子供扱いしてみた。そうすればナイトメアはムキになって言い返してくる。
 その方が彼らしい。そんな様子が見たい……けれど返ってきたのは、

「そうだよ。私の事も、もっと構ってくれ」

 言葉はたしかに子供みたいなのに。
 その言い方も、もう一度頬に触れる仕草も子供っぽいとは言えない、艶さえ感じてしまうもので、アリスの動揺はますます大きくなる一方だった。
 自分自身の反応に混乱するアリスは、微かに微笑む夢魔の様子には気付いていない。
 この夢の空間が仕事から逃げる為ではなく、彼女を独占する為のものだという事にも……アリスはきっと気付かないだろう。


~JOKER~

「あ、あの! グレイ??」

 戸惑うアリスをよそに、グレイはその小さな躰を腕の中に閉じ込める。
 
「ね、ねえ……グレイ、どうしたの? く、苦しいわ」
「すまない、もう少しだけ……このままでいてくれ」

 そう言って腕の力を少し強める。
 数時間帯振りに会えた恋人の突然の行動に戸惑い、ただされるがままになるしかないアリスには、グレイの行動の理由なんて到底解らない。

 ずっと彼に会えなかった。それは、例によって例のごとく上司が仕事を溜め込んだせいもあるが、それとは別にアリス自らがそう仕向けたせいでもある。
 ここ最近、グレイが担当している仕事とアリスが担当している仕事は別で、勤務中は廊下で顔を合わせる程度だった。
 そして休憩時間にはアリスは用事があると、グレイからの誘いを断っていた。
 季節が常に春になっている事から、アリスがハートの城に出向いているのは、グレイはもちろん他の誰もが知っている事実だった。

『ビバルディに誘われてね』

 最近よく城に出掛けているんだなと彼に聞かれた時はそう答えた。
 その時は君も大変だな……と仕事もあるんだから気をつけなさいと頭を撫でられ、そこで会話は終わった。
 嘘を吐いている罪悪感からグレイをちゃんと見れていなかったアリスは、彼が少し悲しげな表情を浮かべていた事を知らない。
 その頃から、グレイの中で小さな疑問と違和感が少しずつ増えていっていた事もアリスは知らなかった。

(香りが違う……)

 アリスを纏う香りが違うと気付いたのは、春の季節が随分続くなと思い始めた頃の事だった。
 薔薇の香りならば、彼女の言うとおり女王のせいなのだろうと思えた。けれど、彼女からするのは花の甘さではない。
 それ以上にもっと濃厚な甘さだった。
 自分がゆっくりと時間をかけて馴染ませた香りを簡単に吹き消したそれに、グレイは次第に苛立ちを隠せなくなっていた。
 そして春から冬に戻ったのと同時に返ってきたアリスを、自分の腕の中に閉じ込めたのだった。

「グレイ! あ、あのね……渡したいものがあって、だからす、少しだけ離してくれると助かるんだけど……」
「俺に、か?」

 そういえば抱き締めた時になにかカサリという紙の音が聞こえた気がした。腕の力を弱め、下を見ればアリスは紙袋を大事そうに抱えていた。

「はあ……えっと、たぶん崩れていたり壊れていたりはしていないと思うけど」

 どうぞ、とその抱えていたものをグレイに差し出す。そっと受け取ると、甘い香りが一層濃く感じられる。

「い、急いでて……ラッピングできなくて、ごめんなさい」

 グレイの片手に収まる程度の真っ白な箱、その中に入っていたのはシンプルなチョコチップ入りのクッキーだった。

「これは、どうしたんだ?」
「ハートの城の厨房を借りて作ったの……こ、此処だと何をしてるかバレちゃうから」

 渡す直前まで内緒にしておきたかったと、消え入りそうな声で呟くアリスの頬は真っ赤に染まっていた。

「それで最近、城の方へよく行っていたのか?」
「う、うん――っ!?」

 もう一度、今度は左腕だけでアリスを抱き寄せる。

「ありがとう」
「クッキーだから、仕事の合間にも食べられると思うの……あ、味は大丈夫よ! お城のコックさんとメイドさん達に教えて貰って作ったから」
「ああ、君が作ってくれたものだ。美味しいに決まっているよ」
「っ!? そ、そんな事ないわよ……いっぱい失敗したせいで、渡すのが遅くなっちゃったくらいだもの」

 さっきまで不快でしかなかった甘さがとたんに心地良いものに感じる。
 我ながら現金だな……心の中で笑いつつ、グレイはその甘さが自分にまでうつるようにとアリスを抱き締めた。


~DIA~

「何をしているんだ?」

 ジトッとアリスを見つめるその視線には不機嫌さが込められている。それも無理は無いだろう。
 二人きりで過ごすという休憩時間になって、約束の部屋に来てみれば、グレイにとっては余計な存在が二人もいるのだから。

「何だ? 私は今、食事中だぞ。だから邪魔をするんじゃない。アリス、もう一口食べたいぞ」

 グレイにとっての邪魔者・1であるナイトメアは元暗殺者の殺気なんてものともせず、アリスに続きをせがむ。

「あ、俺の事は気にしないでいいよ? トカゲさん」

 邪魔者・2であるボリスはそんなアリスの背中にぴったりとくっつき、彼女を抱きしめている。

「いや夢魔もそうだが、お前は何をしているんだ。チェシャ猫」

 アリスへの密着度に関して言えば、ボリスの方が高い。だけどナイトメア以上にグレイの視線なんて気にしないこの猫は、ゴロゴロと喉を鳴らす勢いでアリスにべったりとくっつく。
 ピクピクと米神を引きつらせるグレイに気付いたアリスは慌ててこの状況に至った説明をする。
 そもそも、二人が待ち合わせる予定だったのは駅の外だった。しかしその前にアリスの方に用事が発生し、それが長引いてしまった。だから急遽、待ち合わせ場所をこの部屋に指定したのだ。

「夢魔の子守りを押し付けられたって事か?」
「こ、子守りとはなんだ!!」
「どう見ても子守りじゃねえか? 飯を食べさせてもらってるなんざ、大人の男のする事じゃないだろ?」
「こ、これは! アリスからのご褒美なんだ!!」
「褒美だぁ?」
「ナイトメアと約束したの。仕事を終わらせたら、チョコレートをあげるって」
「ただ渡せばいいだろうが」
「……こうしないと、薬を飲まないって言われたのよ」

 そう言ったアリスの視線の先を辿れば、ベッドサイドのミニテーブルに錠剤の薬が置かれていた。

「……おいガキ。人に迷惑かけずにさっさと飲みやがれ!!」
「う、うるさい!! これを食べ終わったら飲むつもりなんだ!!」

 ぎゃあぎゃあと大人げない言い合いを始める二人に深い溜め息を吐きながら、アリスはナイトメアに差し出すつもりだったチョコをグレイに見せる。

「グレイも食べてみる? 美味しいのよ、ここの生チョコ」
「ア、 アリス!! それは私のだろう!」
「もう半分以上食べたんだから、十分でしょう?」

 まるで聞き分けのない弟を叱る姉のように、ナイトメアに言うと再びグレイの方に視線を戻す。

「え?」

 さっきまでドアのすぐ近くでこちらを睨みつけていたグレイだったが、いつの間にかアリスの目の前まで来ていた……ベッドに座る彼女を見下ろすくらいの近さに。そして――

「っ!?」

 アリスが右手に持っていた小さなフォーク、それに刺されたチョコレートをそのまま口に入れる。

「……甘過ぎるだろ。こんなのが好きなのか? やっぱりガキだな」
「う、うるさいぞ!!」
「あと、チェシャ猫。いつまでそいつにくっついてる気だ?」
「あれ? やっぱり気にしてたの? トカゲさん」
「そいつとは、約束がある。返してもらおうか……来い」
「きゃっ!!」

 ぐいっと腕を引っ張られた拍子に、膝の上に乗せていたチョコレートの箱が傾く。しかしそれを素早く一つも落とさずにボリスがキャッチする。

「よっと!! 食べ物は大事にしないとダメだよ? トカゲさん」
「ふんっガキの食い物なんかどうでもいいんだよ」

 そう言い残し、アリスを連れて部屋を出て行く。

「あ~あ、またアリス取られちゃったね? 夢魔さん」
「別に私は気にしていない!」
「……素直じゃないよね~この二人は」

 だから面白いんだけど、とボリスは心の中で呟きニヤリと笑う。
 主従関係成り立ての二人によるアリス争奪戦は、いつまで続くのか……。
 その結末はアリスの心次第だろう。

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