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幸福な日々/My Dear Rabbit



 姫空木×みこと
 華アワセ
 少し遅れましたが、姫空木誕生日SS
 『幸福な日々』は蛟×みこと←姫空木
 『My Dear Rabbit』は姫空木×みこと
 となっています。




幸福な日々

「お誕生日おめでとうございます、姫空木さん」

 眩しいくらいの笑顔を見せるみことと、その隣で少しだけ居心地悪そうにしている蛟。
 放課後、自室で一人寛いでいた姫空木を訪ねてきた二人は、渡したいものがあると言い小さなホールケーキを差し出した。

「蛟さんから、今日が姫空木さんのお誕生日だと聞いて……用意したんです」

 きっと月光組の水妹の方々からも受け取っているとは思いますが……と小さめのケーキにしたと言うみこと。
 市販されているものよりも少しだけ不揃いな生クリームのデコレーションから、これが彼女の手作りなのだと解る。

「これを僕の為に……?」

 信じられないものを見るような姫空木の視線を、ケーキの味に対するものだと勘違いしたみことは僅かに顔を赤らめながら

「あ、味は大丈夫です! 大丈夫なはずです」

 と徐々に小さくなる声で主張する。

「みことちゃんの料理の腕は知っているよ、君の作るものはいつも美味しそうで……いつも蛟が羨ましいと思っていたくらいだよ」

 そう告げればさっきとは違う意味で赤くなるみことの顔。
 ふとさっきから、何故か落ち着かない様子の蛟が気になった。

「どうしたの? 蛟。もしかして、みことちゃんが君以外の為にケーキを作ったから嫉妬しているの?」
「なっ!? そ、そうではない。ただ自分は――いや、何でもない」

 明らかに何かを隠している様子の蛟が気になった。そして彼の視線がずっとケーキに向けられている事も。
 やっぱりヤキモチを妬いているんじゃないか、ともう一度からかおうとした姫空木よりも先に、みことがあっさりと真相を話してくれた。

「蛟さんはこのケーキが気になっているんですよ。これ、蛟さんと一緒に作ったものなんですよ」
「み、みこと君!! それは秘密にしておくと言っただろう」
「…………蛟が!?」

 嘘だろう、と思いつつもあからさまに動揺している蛟の態度を見ればそれが真実だと信じざるをえない。

「自分はただ、クリームの泡立てを手伝っただけだ。みこと君のみでは疲れてしまうだろうと思ってだな」
「蛟が……」
「せっかく、姫の誕生日を祝うのだから自分も何か手伝いたかったのだ……今まで、こうやって祝った事は無かっただろう?」
「そうだね。親友に祝ってもらえるのはとても嬉しいし、少し恥ずかしいね」

 まっすぐな蛟の言葉に、自分も真実で答える。
 それを嬉しそうに見つめていたみことの視線がふと横に移る。そこには、桃の花が生けられている花瓶があった。

「ああ、あれは月光組の水妹の子達が用意してくれたんだ。今日は雛祭りだからね……あれ?」

 花瓶のすぐ横に、まだ花をつけたばかりの枝が落ちていた。

「みことちゃん」
「はい? え……」

 花が落ちないようにそっと枝を手にした姫空木は、それをそのままみことの髪に差した。ちょうど耳にかけられたそれはまるで髪飾りの様で彼女に似合っていた。

「ひ、姫空木さん!?」
「可愛い」
「ええ」
「ああ、取っちゃ駄目だよ。ほら蛟、可愛いだろう?」
「む……あ、ああ。そ、そうだな」
「~~~!!」

 二人に揃って可愛いと言われたみことは頬を真っ赤に染め上げる。

「それ、この部屋を出るまで取っちゃ駄目だからね?」

 彼女に念を押すと、姫空木は三人分のお皿とフォークを取りに行くと言って席を離れた。
 微かに、似合っていますか? と蛟にもう一度聞いているみことの声が聞こえる。きっとそれに答える蛟はさっきの彼女以上に顔を赤くしているんだろう。

(苦しいはずなのに……どうしてだろう、これが幸せと感じるなんて)

 封じ込めると誓った気持ちは、その決意通りに当の本人達に気付かれる事はない。
 それは辛くて、苦しい日々になるのだと思っていた。けれど、

「僕は、これを幸せと感じている……」

 それは親友の幸せそうな姿を見てなのか、誰よりも愛しい人が幸せそうにいてくれるからなのか。

「どちらもか……」

 せめて、せめて少しでも近くで彼女の笑顔を見ていたい。
 どう足掻いたとしても、彼女への想いを消せるわけもないから。
 それは、彼女に差したあの花が意味する言葉通りに――彼女の『とりこ』なのだから。

「だから、これくらいは許してくれ」

 これからも姫空木は何度も心の中で親友に謝りながら、二人を見守り続けるのだろう。


My Dear Rabbit

「どうしたの? それ」

 さっきまで普通の制服姿だったはずの最愛の恋人は少し待っていてくださいと席を離れて、再び姫空木の前に来た時には真っ白なミニのワンピース姿で、そしてその頭には真っ白な兎の耳が付いていた。
 もじもじとするみことの仕草は、もうそれだけで抱き潰してしまいたくなるくらいに可愛いが、彼女が自らこんな格好をするとは思えなかった。
 そして、誰の仕業かは大方予想が付いていた。

「百歳先輩?」
「……はい」

 膝はおろか、太股まではっきりと見えているほどに短いワンピースの裾をどうにか伸ばそうとしながら、みことはこうなった経緯を説明した。


        ○●○●○●


「ミューズ、今日は耳の日と言うらしいんですのよ」

 女同士で雛祭りという事で、甘酒を飲みながら雛あられを食べていたみことと百歳。
 ふと思い出したようにニコニコと語る百歳。3月3日で語呂合わせで『耳の日』と言うらしい。

「そういえば、姫空木の誕生日でもありましたわね?」
「は、はい……この後、姫空木さんに会いに行く予定なんです」
「まあそうなんですの!? でしたら、ちょうど良いですわ。ミューズに是非とも着て頂きたい洋服がありますの……タネ、カス!」
「はい」
「はい」

 物音一つ立てずに百歳の隣に現れた二人は何かを彼女に手渡す。そしてそれは百歳の手からみことに渡される。

「これは、ワンピース?」

 その季節には少し合わないような気がする、もこもことした全体がファー素材のワンピース。
 そしてもう一つは同じく白のカチューシャ。ただし普通のではなく二本の兎の耳のような、同じくファー素材で出来たものが付いていた。

「これを私に?」
「ええ、サイズはちゃんとミューズに合わせておりますわ。それがわたくしから姫空木への誕生日プレゼントですの」
「えっと??」
「それを着たミューズ……きっととても愛らしいでしょうね」

 うっとりとした表情の百歳に、何故か冷や汗を流すみことだった。


        ○●○●○●


「つまり、今のみことちゃんが百歳先輩からの誕生日プレゼントって事かな?」
「……はい」
「ふふふ。そうなんだ。可愛い兎さん、もうちょっとこっちにおいで?」

 そう言いながら距離を離すように後ろ向きに歩き、ソファーに座る。そしておいでおいで、と手招く。
 ふらふらとそれに従い近づいたみことを優しく腕の中に閉じ込める。

「耳もふわふわしているんだね、可愛いなぁ」

 ただのカチューシャに付いているだけのそれなのに、何故か撫でられると恥ずかしいし、その手の温もりが伝わってくるような気がする。
 それに晒している生足に姫空木のズボンの生地が触れるのが、慣れない感触で恥ずかしい。身を捩ろうとしても彼に抱き締められた状態では難しいし、下手に動くと余計に裾が上に上がってしまいそうで。
 とにかく、みことにとってこの状態の全てが彼女の羞恥を煽るものになる。

「どうしたの? みことちゃん」
「うう……恥ずかしいんです。だから少し離れて……欲しくて」
「そうなの? でもだぁめ」

 そう言って更に距離を詰めるようにみことを抱き締める。

「兎さんは、寂しいと死ぬって言うでしょ? だから君は僕から離れちゃ駄目だよ」
「……」
「みことちゃん? どうかした?」
「いいえ、なんでも無いです」

 みことは恐る恐る姫空木の背に腕を回す。

(きっと寂しくて死んでしまうのは……姫空木さんの方だわ)

 自分が離れたら彼は……それはみことの自惚れでは無くきっと真実となるだろう。
 
「ずっと、傍にいます」
「うん、ありがとう。みことちゃん……それが僕にとって一番のプレゼントだよ」

 ただその一言で顔を綻ばせ、喜んでくれる彼が愛しい。時折怖いと思うほどに愛してくれる彼から絶対に離れたくない。

(だから、ずっと傍にいてください。私だけの兎さん……)

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