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ラスト・ターゲット(リクエスト)



 グレイ×アリス
 ダイヤの国のアリス設定
 ひまり 様リクエストのグレアリ小説です。
 遅くなってすみません。リクエストありがとうございました!




「やっぱり、男の人ってスタイルが良い方が好きよね?」
「はい??」

 独り言のような、質問のようなその一言にボリスは間の抜けた声が出てしまった。
 食堂の隅っこで真剣な顔をしているアリスに気付いて、隣に座ったのがついさっき。
 話を聞くよ、と言ったのがそのすぐ後。そして返ってきたのが先ほどの一言だ。

「えっと……どうしたの?」

 お世辞にも、アリスのスタイルは良いとは言えない。
 彼女の普段着である青いエプロンドレスだと幼さがさらに際立つ。
 アリスの突然の言葉に驚きつつも、ボリスには心当たりがあった。

「トカゲさんと何かあったの?」

 アリスとグレイが同僚以上の関係である事は知っている。正確には同僚以上恋人未満といったところだろう。
 二人が一緒にいる所はよく見るし、その大半が『グレイにからかわれているアリス』という構図だ。
 それでもアリスが嫌がっているようには見えないから、彼女の友人という立場のボリスはそれを傍観しているのだが。
 今回は違うのだろうか?

「さっき、ナイトメア宛にダイヤの城から招待状が届いてね――」


        ○●○●○●


 それはアリスが休憩を取ろうとしていた直前の事。
 グレイと二人がかりでナイトメアが仕事をするように見張っていた所に、ダイヤの城の使いだという男がやってきた。
 彼が差し出した招待状を見たとたんに顔を真っ青にするナイトメア。何が書かれているか気になったアリスが覗き込むと、そこには一言『お茶会へいらしてくださいね』とだけ書かれていた。
 確かにクリスタに気に入られているナイトメアからしたら、これは恐怖でしか無いだろう。
 そしてアリスもクリスタの能力を間近で見た事があるので、ナイトメアが怯えるのが理解出来る。
 しかし、グレイだけは違うようで。

『いいじゃねえか。女王様直々の誘いだろ? 行って来れば』
『な、何を言うんだお前は!! 嫌に決まっている!! あ、あの女王の所になんか行ったら……うう』

 想像しただけで震えだしたナイトメアの背中を摩りつつ、アリスもそれに同意した。
 クリスタに気に入られる=凍らされる事はもちろんグレイだって理解している。
 しかしそれでも彼にとっては『クリスタ程の美女に気に入られるのは、男としては嬉しい事』という認識らしいのだ。

『ま、またまだガキのお前らには解んない事だったな』

 そんなの解りたくないぞ!! 咳込みながら叫ぶナイトメアと違って、アリスは何も言い返せなかった。


        ○●○●○●


「クリスタって美人よね……」

 溜息交じりのその台詞にボリスは何も返せない。
 確かにボリスだって、あの女王の事は綺麗だと思う。友人がいないダイヤの城には滅多に近寄らないが、役持ち同士である以上顔を合わせる事は何度もある。
 赤い女王様と違って、そこまで猫が好きではない彼女との会話は少なくあったとしてもすぐに終わってしまう。
 ボリス自身、長く話していたいとは思わない。

「でも、俺はアリスの方が良いな」

 見ている分には美しいと思う人でも一緒にいたいとは思わない。それだったらボリスはアリスの方を選ぶ。

「私が珍しいからでしょ?」
「それもあるけど――ん?」

 誰かに見られている。そう気付いたボリスは周囲を見渡す。キョロキョロと動かす視線に入ってきたのは、見慣れた駅員姿のグレイだった。

「こわっ!?」

 姿は見慣れたグレイでも、その表情は思わずに声に出てしまう程に恐ろしく……ボリスを睨みつけていた。

「ボリス? どうしたの?」

 突然ビクリと躰を震わせたボリスの肩に触れようと伸ばしかけたアリスの腕は、近づいてきたグレイによって止められる。

「何してんだ?」
「グレイ……何って、休憩中よ」

 グレイと顔を合わせ辛いアリスはその視線をあからさまに逸らす。
 その態度に舌打ちを一つ鳴らしたグレイは、強引にアリスを椅子から立たせた。

「な、何!?」
「いいから来い」

 そしてそのまま食堂を後にしてしまう。
 残されたボリスは乾いた笑いを浮かべ、その一部始終を見ていた他の駅員達はすぐに何でもない事のように各々の食事や会話を再開していた。

「で? あんたは何をしてたんだ?」
「だから休憩中だって言ったでしょう?」

 引き摺られるように連れて来られたのは、ひと気の無い廊下だった。とはいえ近くには給湯室がある場所だ。声は聞こえているのかもしれない。
 そう思うとアリスの声は自然と小さくなる。
 だけど、グレイはそれをアリスが後ろめたい事があって誤魔化そうとしている態度だと勘違いしてしまう。

「チェシャ猫と楽しそうだったな?」
「ただ話していただけ――っ!」

 腕を掴んでいる手に力が込められる。ギリギリという痛みから逃げようと腕を動かすが、そのせいでさらに力が強まる。

「痛いわよ!」
「あんたが逃げようとしなければこんな事はしない。あいつと何を話してた?」
「た、ただの世間話よ。友達とする普通の話よ」
「俺には、口説かれているように聞こえたが?」
「そ、そんな訳無いでしょう! 馬鹿な事言わないでよ!」

 声を荒げて離れようとするアリスに対してグレイは悪そうな笑みを浮かべ、掴んでいた腕を引き距離を詰める。

「っ!? グレイ?」

 これ以上は危険だと察したアリスだが、もう遅い。

「俺が、ダイヤの女王に対して言った事を気にしてんだろ?」
「な……何の事よ」

 どこから聞いていたのだろうか、そんな今更な疑問がアリスの中に浮かぶ。
 もしかしたら最初から聞かれていた? 一番恥ずかしい状態を想像してしまったアリスは恐る恐るグレイの顔を見る。

「どうした?」
「えっと……どこから、聞いてたの?」
「さあ? どこからだろうな」

 ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるグレイはまともに答えてくれそうに無い。だけど、それこそが彼が最初から聞いていたという証拠でもある。

「あんたは本当にガキだな」
「な、何よいきなり!!」
「事実を言っただけだろ? それにな、俺は興味の無いガキにはこんな事しないんだよ」
「ひゃっ!?」

 更に腕を引かれ、耳元にグレイの口唇が触れる。その僅かな接触にもアリスの口から小さな悲鳴が漏れる。

「あんまり他の奴と喋るな……人前でこんな事されたくなかったらな」
「~~~!! は、離れて!!」

 精一杯の力を込めてグレイの躰を引き剥がす。
 口唇の感触がはっきりと残る耳を押さえながら、真っ赤な顔で睨み付けてくるアリス。

(チェシャ猫と同じ考えなのは気に入らないが、たしかにこっちの方が楽しいな)

 からかい程度で手を出した存在だったが、思わぬ収穫だったと心の中で笑う。
 けれどなかなかに難しそうな相手だ……だが、それも楽しいか。
 暗殺者ではなくなったグレイの最後のターゲットは目の前にいる、少女。
 狙われていると自覚しきれていないアリスは、いつ捕まってしまうのか――

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