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ラヴコレサンプル・華アワセ



『恋ひ恋ふ 恋ひ渡る』
華アワセ・五光×みこと 短編集です。




蛟×みこと

「ミューズは素敵な方ですもの。貴方のように、彼女に恋している者がいるかもしれませんわよ」

 ふふふと小悪魔めいた笑みを浮かべる百歳。
 その最たる人間はここにいない男達だが、それは百歳にとって問題ではない。

(目の前で婚約宣言なんてされては、諦めるしかありませんもの)

 それよりも気にするべきは、二人の関係を知らない者達だ。
 鴻鵠組はもちろんそれ以外の組――この学園の全ての生徒が、五光・蛟の唯一のパートナーがみことである事は重々知っている。が、それ以上の関係である事を知る生徒は少ない。
 だからこそ、みことへの憧れが好意へと、そして恋情へと発展する事だってあるだろう。
 そう指摘すれば蛟は僅かに眉を顰める。

「それはいささか短絡的なお考えでは」
「何を言っていますの! あ~んなに素敵なミューズを前に心を奪われない殿方なんていませんわ!」

 貴方が良い例じゃありませんの、と言われれば蛟は何も言えなくなる。
 そして、もう一度ガラス越しにみことの姿を見つめる。
 楽しそうにクラスメートと話すその様子は、さっきまでただ微笑ましく思えていたのに今は違う。

「蛟、貴方は確かにミューズの――みことさんの婚約者ですわ。ですがそれを知るのはごくごく限られた一部の人間。恋人である事を知らぬ者の方が多いのです。しっかりとアピールしないと、みことさんを取られてしまいますわよ!」
「と、取られ……みこと君を」

 百歳にしてみれば、こうやって蛟をけしかければ二人がラブラブな様子を見る事が出来る。それはつまり、みことの笑顔へと繋がる。

「ええそうですわ。ですから、貴方はもっとちゃんと! ミューズと恋人らしい事をなさい! いいですわね?」


姫空木×みこと

 最低な夢を見た。悪夢と呼ぶに相応しい夢だ。
 目が覚めても残る嫌悪感を払いたくて、姫空木は自室から離れた。
 しんと静まり返った寮敷地内の庭園。自分の足音以外は響かない……はずなのだが、姫空木の耳には自分が発したのではない足音が聞こえた。

(誰かいるのかな?)

 見回りの警備員と考えるのが妥当だろう、その場合は見つかる前に離れた方が良い。
 そう頭では解っているのだが、足はその音が聞こえる方へと進む。

「……え?」

 姫空木は自分の目を疑った。そこにいたのは、警備の人間ではなく、一人の女子生徒。彼が愛してやまない存在だった。

「みこと、ちゃん? どうしたの?」

 寝巻きに薄いカーディガンを羽織り、携帯電話をきつく握り締めているみこと。近づくと彼女もまた驚いた表情で姫空木を見つめた。

「姫空木さん?」
「うん。どうしたの? こんな夜中に……風邪引いちゃうよ?」

 昼間は暖かく、時折暑いと感じる程の気温になったとはいえ夜はまだ肌寒い。いつから彼女がこうやっていたのかは解らないが、みことの頬に触れるとひんやりと冷たかった。

「みことちゃん、本当にどうしたの?」

 みことはただジッと姫空木の事を見つめていた。普段ならばからかいつつも嬉しいと感じるが、今の状況でのこれは何かがおかしい。

「姫空木さん……私の声、聞こえてますか?」
「え? もちろんだよ」

 微笑みながら答えると、とたんにみことは両の目を潤ませる。

「みことちゃん!?」
「ふっ……っ。よかった」

 涙を零しながら微笑むみこと。姫空木はそんな彼女の肩を抱くと、寮の自室まで連れ帰った。


唐紅×みこと

「我は阿波花じゃ」
「は、はい。すみません」

 みことの心の声を読んだかのように名乗ると、二人に近付き写真を奪い取る。

「ああ!」
「ほう、なかなか良く撮れているではないか……ふむ。みことこれからちと、我に付き合え」
「な、何をするんですか?」

 恐る恐る聞いたそれには答えてくれないまま、半ば強引に理事長室まで連れて来られ、阿波花ともう一人の理事長・金時花の二人に遊ばれる事になった。
 している事は百歳と変わらない。彼らも持っている服をみことに着させて遊んでいるだけ。しかしその服が問題だった。
 二人が持っているのは本人達も身に付けているような和服ばかり。着付けるのは面倒だからと制服の上から羽織っている程度。だが、そのすべてが明らかにみことの想像以上に高額であろうものばかりなのだ。

(こわい……動けない!!)

 もしも踏んで転んでしまったら、そのせいで汚してしまったら……そう考えるとみことはまるでマネキンのように身動き一つ取れなくなる。
 最初はそれをからかっていた理事長二人だが、大人しくしている方が遊びやすいと判断したようだ。
 赤に青、黄に緑そして紫。次々と羽織らされる色とりどりの着物に目を奪われる。そしてそのどれもが自分には到底似合わないものばかりだろうに、二人は楽しいのだろうか。そんな不安な心はすぐに伝わる。

「安心しろ、みこと。貴様に良く似合っておる」
「我等の言う事が信じられんか?」
「い、いえ! ありがとうございます」

 まっすぐ目を見て言われた言葉に思わず顔を赤らめる。

「おい、何やってんだてめぇ等」

 少しだけ和みかけた空気を壊したのは、ドスの利いたその一言だった。


いろは×みこと

「ねえミューズ、今度は二人で一緒にドレスを着ませんこと?」
「え、今度ですか?」
「ええ。カラクリ希とは関係無く、ただ撮影するだけになりますけど。ちゃんとセットを用意しますわ。お揃いで色違いのウエディングドレスを着るんですの。きっとこの時以上に素敵なものになりますわ」
「ドレス……」

 百歳の選ぶ服は露出の高い服の時はさすがに恥かしさの方が勝ってしまうが、いつも素敵だ。
 それにウエディングドレスというのは女の子の憧れ、みことにとってもそれは変わらない。
 ついついその単語だけでもときめいてしまう程だ。

「ええ。それではタネ、カスすぐに手配をして――」
「待ってください」

 手配を命じようとした百歳を遮ったのは、さっきまで微動だにしなかったいろはだった。

「何ですの? いろは、反対なさるおつもり?」

 さすがにパートナーとして一緒にいた時間が長いからか、ただそれだけでいろはが反対したがっていると解ったらしい。

「…………」
「そうですわね、でしたら貴方用に特大のウエディングケーキを用意しますわ。撮影が終わりましたらそれを食べても良いですわよ。これでいかが?」
「………………」
「これでも駄目ですの? でしたらそうですわね……」

 無言で睨みつけてくるいろはを納得させる方法は無いかと思案している百歳の横で、みことはただオロオロと二人を交互に見る事しか出来ない。

「……いろはさん? どうかしましたか――えっ!?」

 みことがいろはを見た時、彼もまたみことの方を見ているような気がした。恐る恐る名前を呼んだのと同時に腕を引かれた。

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