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ミラーワールド・カウントダウン



 ダイミラのカウントダウンっぽいものやってみよう!なSSです。
 メイン扱いの五人で、シチュエーションはスイーツコラボで貰えるコースターの絵柄のその後な感じです。
 五日前・ユリウス×アリス
 四日前・エース×アリス
 三日前・ナイトメア×アリス
 二日前・ボリス×アリス
 一日前・グレイ×アリス
  当日・駅組+アリス

 




駅組+アリス

「お帰りなさいませ、お嬢様」
「…………え?」

 バザールから戻ってきたアリスを出迎えたのは、ボリス。
 けれどいつも違うのは彼の服装だった。
 フォーマルなその格好は、スーツ姿やコーカスレースの時の服装とも違う。

「アリス~?」
「あ、ごめんなさい! これ、どうしたの?」

 ボリスを始めとした三人の格好にも驚いたが、ボリスに連れられて入った部屋の一室は、いつもの質素な空き部屋から一転して、どこかのレストランの様な雰囲気だ。

「驚いた? ほら、あんたの歓迎会ってやってなかっただろ?」
「歓迎会?」
「そ! まあ簡単だけどね。ほらほら座って」

 急かされながら椅子に腰かけると、それを待っていたかのようにグレイがやってきた。その右手に乗せたトレイにはティーポットとカップがある。
 彼の格好もボリスと似たようなタイプのものだ。

「……ほら」
「あ、ありがとう……」

 無愛想な彼が注いでくれた紅茶はかすかに薔薇の香りがした。

「トカゲさん! 台詞忘れてる!!」
「あんな台詞言えるか!」
「駄目だよ! ほらほらトカゲさん」

 何がなんだか解らないアリスを挟んで、グレイとボリスの会話は続く。

「ちっ……一回しか言わねえからな!」

 そう言ってボリスを睨みつけると、その視線のままアリスの方を見る。

「お嬢様、お熱いので気をつけてください」
「は、はい……」

 何を言われるのだろうかと身構えたアリスにとっては若干、拍子抜けしてしまう言葉だったが、言った本人にとっては物凄く恥ずかしかったようだ。

「これで良いのか、チェシャ猫!」
「う~ん。まあトカゲさんだしね、こんなもんでしょ」

 うんうん、と頷くボリスに舌打ちを鳴らしながらも、これ以上いたらまた面倒に事になるとブツブツ言いながらグレイは二人から離れていく。

「お、おいグレイ!? 何処に行くんだ」

 彼と入れ替わるようにやってきたナイトメアは、先ほどのグレイを真似るように片手にトレイを乗せているが、その様子は物凄く危なっかしい。

「わっ! とっとと……は、危なかった」

 そう思っているそばから転びそうになっている。

「お~い。駅長さん、大丈夫か~」
「ふふん! まさかせろ! 私は偉い駅長なんだ、これくらい簡単にこなしてみせるぞ!」
「いや、もう十分に危ないから……」

 アリスも無言で頷くことでボリスに同意する。

「ほ、ほら見ろ! どうだ!」
「いや、この距離を運ぶだけでそんな偉そうにしないでよ」
「まあナイトメアにしては、頑張ったんじゃない?」
「アリスは、ほんと駅長さんに甘いよね~俺、ちょっと拗ねるよ?」

 嘘っぽい甘えの言葉を無視して、アリスはナイトメアが運んできたトレイに乗せられたものを見る。

「可愛い、プティフールね」
「ああ! 美味いと評判の店を私が調べたんたぞ!!」

 偉いだろうと言わんばかりのナイトメアに苦笑しながらも、確かに見るだけでも可愛らしい小さなお菓子に見とれてしまう。

「はいはい、駅長さんもちゃんと台詞言ってね」
「むむ! そ、そうだったな。こほん! お嬢様、どうぞお召し上がりください」
「……は、はい」
「あ、俺が取ってあげるね。どれがいい? ……じゃなくて、どれが良いですか? お嬢様」
「ふふ」

 まるで帽子屋屋敷のお茶会のよう、少しぎこちない給仕だけれど、それが嬉しい。
 自分の為に三人が精一杯なのが解る。だけど、落ち着かないのも事実で。

「これを一人で食べるのは無理だから、四人で食べましょうよ」
「え?」
「駄目?」
「ううん、お嬢様の頼みなら――」
「それもやめて、いつも通りに呼んで欲しいわ」
「え~せっかく頑張ったのに~」
「だって、皆らしくないんだもの。私はいつもの三人が良いわ」
「……そう言われたら。じゃあトカゲさん呼んでくるよ!」
「うん」

 ボリスがグレイを呼んでくる間にアリスは三人分の紅茶を用意して、プティフールを取り分ける。
 突然呼び戻された上に状況が解ってないグレイを無理矢理混ぜて、小さな歓迎会は始まった。


一日前・グレイ×アリス

「あんた一人だけラクそうだな?」

 さっきまでナイトメアの世話を焼きつつ、エースに絡まれていたグレイは恨めしそうにアリスを見下ろす。

「えっと……お疲れ様」

 少しだけぎこちない笑顔でアリスが言うのと同時に、グレイはテーブルを挟んで目の前においてある椅子に腰を下ろす。
 淹れたてで、また口を付けていなかったカップを差し出してみると、それを無言のまま受け取る。

「はあ。ああ悪いな飲んじまって……ん? あんたは何食ってんだ?ってケーキか」

 半分ほどを一気に飲んで少し落ち着いたらしいグレイは、アリスの目の前に置かれたケーキに気付いた。

「グレイも食べる? 半分にしましょうか」
「いらねえよ……いや、あんたが食べさせてくれるって言うんなら貰おうか」
「は!?」
「何だ? くれないのか?」

 一人で食べようと思っていたので、テーブルの上にフォークは一本しかない。
 それもすでに使ってしまっているので、グレイが食べると言ったらもう一本貰いに行けばいいと思っていたアリスだがこれでは無理そうだ。

「これ、もう私が使っちゃってるわよ?」
「別に気にしねえから、ほら」

 さっさとよこせと言わんばかりの態度のグレイ。
 からかわれていると思うが、疲れている時には甘いものが良いと聞くし……とアリスはケーキを掬いグレイの前に差し出す。

「ん…………甘いな」
「ケーキなんだから当たり前でしょ?」
「でも結構いけるな。このチョコ……」

 ケーキと一緒に掬ったハート型のチョコは一口で食べるには少し大きかったようだ。
 半分ほどかじったそれとアリスの方を交互に見てグレイはにやりと笑う。

「な、なに? 美味しくなかったの?」
「違えよ、これあんたの名前が書いてあったんだな?」
「そうみたいね……それがどうかした?」
「いや……どうせだったら、あんたを食べたいなと思っただけだ」
「っ!? な、なに言ってるのよ!!」

 顔を真っ赤したアリスを見て笑いながら、グレイは手に持っていたチョコを食べる。
 完全にからかわれていると解っているのに、アリスの心臓はドキドキと煩く鳴り続けていた。


二日前・ボリス×アリス

「ボ~リ~ス~!!」
「あはは。怒ってる?」
「呆れてるの!」

 アリスの視線はボリスが持っているパフェに向けられている。
 ダイヤの国の宰相の兎ver.の顔を象ったチョコレートパフェ。
 飾られているのは、チョコと相性の良いバナナと、一口サイズのチョコブラウニーと、スティック状のクッキーと……何故か、魚。

「何してるのよ」
「いやだって、ほら! このお魚とクッキーって形が似てるだろ? だから並べたら面白いかなぁって」
「食べ物で遊ぶんじゃないの!! それ、ボリスが責任持って食べてよね?」
「え……お魚も?」
「もちろんよ、クリームと一緒に食べてね? 私は別のちゃんとした方のパフェを食べるから」
「あ、待ってよ!」

 ぷいっとそっぽを向き離れようとするアリスを、ボリスは慌てて追いかける。

「ごめんって、これはちゃんと食べる。頑張るから~って、あんた何持ってるの?」
「クッキーよ」

 アリスの手には一枚のクッキー。少し大きめなサイズというだけで後は普通のクッキーに見えたのだが、それをくるりとひっくり返すと、

「あ~それって、俺ら描かれてるやつだ」
「そうよ」

 にっこりと微笑み、絵柄をはっきりとボリスに見せてから、アリスは勢いよくクッキーを齧った。

「ああ~!?」
「あ、美味しいわ」

 サクサクのクッキーは本当に美味しかった。
 こんな事なら食べ物で遊んだボリスへのおしおきとしてではなくちゃんと味わって食べたかった。

「アリス。ヒドイよ」
「何が? 私は普通にクッキーを食べただけよ?」
「嘘だ。絶対に嘘だ」

 隠すつもりも無かったので解って当然だろう。
 アリスが持っていた、さっきまでは丸いクッキー。今はちょうどボリスの絵のところだけが欠けている。

「さっき、食べ物で遊ぶなって怒ってたくせに」
「私はちゃんと食べているもの」

 たったこれだけの事で、尻尾の毛をわずかに逆立てて耳がぺたんとしているボリスが可愛い。

「ヒドイや……」

 その仕草もちょっとだけはわざとやっているんだろうと気付きつつも、ついつい甘やかしてしまいたくなる。

(猫はズルイわ……)


三日前・ナイトメア×アリス

「随分と楽しそうだね? アリス」
「ナイトメア? また勝手に人の夢に……」
「良いじゃないか。それにしても、ダイヤの国での私はやはり可愛いな!」
「わけの解らない自画自賛しないでくれる?」

 勝手に心を読まないでと言おうとしたが、長い付き合いでそんな台詞は通用しないと解りきっているので黙る。
 ナイトメアが見たのは、アリスとダイヤの世界では駅長として存在しているナイトメアのやり取りだ。

「チョコクリームを顔につけてるのが可愛いなんて」
「無邪気で可愛いではないか!」
「……もう少し小さな姿だったらね」

 そう言いつつも、あの時のナイトメアを少しだけ可愛いと思ってしまった自分がいる。
 口元についたクリームを拭ってあげると照れ臭そうに礼を言ったナイトメア。
 姉妹しかいないアリスだが、弟がいたらこんな風に世話を焼いていたのかもしれないと思ったくらいだ。
 そしてそれはすぐに本人に読まれ、弟扱いなんて! と怒られたが。

「それは、当然だろう。恋人に弟扱いされて喜ぶ男はいないからな」
「……」
「どうかしたのか? アリス」
「いいえ」

 一瞬だけ浮かんだ言葉をアリスは飲み込んで、首を横に振る。

「さて、そろそろ君を解放しないと怒られてしまうかな?」
「どうかしら、今はたぶん無理矢理薬を飲まされて寝ている頃だと思うけど」
「……そっちのグレイは容赦が無いな」
「でも、こっちのナイトメアは、貴方よりは聞き分けがいいわよ?」
「っ!? さ、さて!! 私はそろそろ戻るぞ!!」
「はいはい……じゃあね、ナイトメア」


四日前・エース×アリス

「エース……どうして貴方はそこから食べるのよ」
「え? 普通じゃないか?」

 見知った兎さんそっくりに可愛く綺麗に飾られたパフェ。
 そのチョコレートで出来た耳を口に銜えながらエースは答える。

「だって、上に飾ってあるのから食べるだろう?」
「そうだけど、真っ先に耳からいくのは……」

 パリパリと良い音を立てながら右耳として飾られたチョコレートを咀嚼していく。
 完成された見た目はとても可愛らしいけど、こうやって食べていく過程を考えると複雑な気分になる。

(ここにペーターやシドニーがいなくて良かったわ)

 僕も一緒に行きます! と付いて来ようと必死だったペーターを止めて正解だったとアリスは改めて思う。

(持って帰るのはケーキの方だけだし、大丈夫よね)

 さすがに本人(兎)にこれを渡すのは気がひける。

「おーい、アリス? 俺と一緒にいるのに考え事? 冷たいな~」
「わっ!?」

 パフェについて色々と考えてしまっていたアリスは、エースが近づいていた事にまったく気付いていなかった。
 声をかけられた時には、考え込んでいるアリスの表情を覗き込むようにエースが目の前に立っていた。

「構ってくれないと、拗ねちゃうぜ?」
「何言ってるのよ、からかわないで!」
「本当なのになあ……はい、君も食べてみなよ」

 そう言って差し出したのは、もう片方の耳として飾られていたチョコレートだ。

「わざとでしょ?」
「え? 何の事だい?」
「……」

 スプーンやフォークの類を持っていないので、手で取れるものしか選べないのも解る。
 それでもハートのクッキーではなく、こちらを選ぶところがエースらしい。

「アリス~早く食べてくれないと、耳が溶けちゃうぜ?」
「せめてチョコって言いなさいよ!」


五日前・ユリウス×アリス

「お疲れ様、ユリウス」
「ああ……」

 本当に疲れきった表情のユリウス。
 それも無理は無いだろう。甘い匂いに囲まれて左にはエリオット、右にはエースに挟まれては。
 
「あいつらは本当に……」

 はあ、と深く溜め息を吐きアリスが差し出したマグカップを手に取り、椅子に腰を下ろす。
 珈琲を一口飲みさっきまで自分がいた方を見ると、まだ残りの役持ち達が何か騒いでいる。

「本当にお疲れ様」

 アリスは、ぐったりとしているユリウスに近づくとその髪を撫でた。

「っ!? な、なんだ!?」
「あ、ごめんなさい……つ、つい」

 こういった体勢で彼に触れたのは初めてかもしれない。相変わらず、自分のよりも綺麗な髪だ。
 謝りつつも、アリスの手はユリウスに触れたまま。そしてユリウスも一度はこちらを睨みはしたが、すぐに視線をマグカップへと戻す。

「まあ別にいいが……いや、離れろ」
「え? あ、やっぱり嫌よね?」
「違う。エースがこちらに気付いた」

 グレイに鍛錬という名で絡んでいたエースが、ユリウスとアリスが揃っている事に気付いたようだ。
 斬り合いの最中なのでこちらにはやってきそうにはないが、むかつくくらいの爽やかな笑顔でこちらを見ているのが解る。

「……ごめんなさい」
「今更気にしていない……」

 そう言いながらまた疲れきった表情に戻ったユリウスに苦笑しながら、エースにからかわれる彼を見るのが少し楽しみなアリスだった。
 そんなやり取りを見られるのが、とても久しぶりな気がして――

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