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『アリス版深夜の真剣小説60分一本勝負』まとめ1



 プライベッターを使って参加してたワンドロ(ワンライ)まとめ その1
 1.Under the moon(ハトアリ・ブラッド+アリス)
 2.Bath Time(ペーター×アリス)




Under the moon

「此処に来ると、いつもお茶会に誘われている気がするわ」

 夜のお茶会は帽子屋屋敷……いや、ブラッドを訪ねた時に開催される恒例のものとなっていた。
 ここ最近ではアリスが来る前からすでに準備されていて、問答無用で参加させられているような気がする。

「おや、何かご不満かな? お嬢さん」

 満足そうにティーカップを持ち上げるブラッド。
 彼にとってお茶会は生活の一部のようなもの。そこにアリスが加わっただけで飽きるという感覚は無縁なのだろう。

「これ以外の何かをご所望ならば、私の部屋にくるかい? 君は読書を好むと聞いているからね、それほど数は無いが君が気に入りそうなものが一冊くらいはあるかもしれない」
「それは遠慮しておくわ。いくら友人とはいえ、夜に部屋を訪ねるのは非常識でしょう?」
「こんな時の狂った国で時間など気にしなくても良いと思うがね。それにすでに君は、私のもとへ来ているじゃないか」

 それは君にとっての非常識では無いのかな、と最後まで言わずに彼はティーカップに口を付ける。

「だって、貴方は夜の時間帯以外は会えないじゃない。会おうとしたらこの時間帯を選ぶしかないわ」
「ふふふ。それほど私に会いたいと思ってくれているのか」
「……ただの息抜きよ」

 昼と夕方の時間帯は滞在地で過ごし、夜になると自室で休むか外出。それがここ最近のアリスの生活パターンになっていた。
 夜の時間帯で会える友人というのは限られていて、賑やかさを求めるなら違う場所へ行くがそれ以外だと此処になってしまう。
 消去法をした結果だとストレートに言う。

「そうだとしても私を選んで貰えて嬉しいよ、お嬢さん。君もこうやって静かな時間を過ごしたいと思ってくれている事がね」

 別に帽子屋屋敷が静かな場所とは思っていない。
 昼や夕方に来れば双子やエリオットのおかげで此処だって賑やかな場所になるが、夜は彼らと会えないせいか静かになる。

「そういえば、三人はいつもどうしているの?」
「なんの事かな?」
「エリオットや、ディーとダムの事よ。普段だったらお茶会に混ざりたがるのに、夜だけは絶対に来ないじゃない」
「ああ……あいつらは、このお茶会には参加しないよ」
「どうして? ……あ、何か仕事をしているの?」

 彼らの職業を思い出す。確かに夜に活動する事の方が多いのだろう。だが、それを言うのならば組織のトップであるブラッドはいいのだろうか。

「私が動かずとも済む案件ばかりだからね、だから安心してくれ」
「心配はしてないわ。迷惑になっていないか気にしただけよ」
「どちらだとしても、私を想っての事だろう?」
「そういう事じゃないわ」
「まあいい。君が来る夜の間は、私達以外は参加させない。そういう風に決めてあるから、安心しなさい」
「……それ、安心していいの?」
「もちろんだとも。静かに月を眺め、紅茶を楽しむ。余計な音も余計な色も無い。素敵なお茶会だろう」
「そうね……」

 ブラッドが厳選した紅茶と、最低限の菓子。
 大人数用のテーブルにおくには寂しいが、それでも十分だと思える。

(こうやって、二人きりでいても苦痛ではない……)

 昔、恋した相手と瓜二つの顔……それを理由に避けるのが嫌で意地になって会いに来ていた。
 けれど今は単純にこの時間が楽しみになっている。
 常に同じ月の形、目の前にいるのも常に同じ相手。
 だけどそれに飽きは無く、穏やかに過ぎる時間を楽しんでいる。

(目の前にいるのはブラッド=デュプレ。マフィアのボスで、滞在先と対立してる領土の主……)

 彼個人を見ても関わらない方が良い理由の方が多い。
 もしも滞在先の誰かにどうしていつも会いに行くのかと訊ねられたら何と答えれば良いのか迷ってしまう。
 それでも、アリスは夜になると此処を訪れるだろう。
 この月の下でのお茶会を口実にして。

<2014/5/6 『ブラッド』・『お茶会』 >


Bath Time

 今までに猫以外の動物を飼った事が無かった。
 その猫に関してすらぼんやりとした知識しかなくて、ましてやそれ以外の動物に関してなど解らない。

(いや、そもそもこれは動物と見ていいの?)

 今更になって、目の前の真っ白な生き物を見てアリスは悩む。

「?? どうしたんですか? アリス」

 アリスからの行動待っていた彼はいつまでたっても動きが無い事を気にして、くるりとこっちを見ながら声をかける。
 いつもよりも高いトーンの声。今ではこれも聞きなれたものだ。

「何でもないわ、ペーター。いいわね、絶対に人の姿に戻っちゃ駄目だからね?」
「はい。貴方の言う事はちゃんと聞きますよ」
「それならいいわ……あと、これからこっちを向くのも駄目。目をちゃんと瞑っててね」
「はい。解ってますよ。僕は愛する人の言う事は何でも聞く兎ですからね、貴方の望みは何でも叶えますよ」
「いや、そんな大げさなものじゃないんだけど……まあいいわ。熱かったら言ってね?」

 そう言って、水量を少な目に調整したシャワーを真っ白なその背中にあてる。
 とたんにピクッと躰が動くが、約束を守ってはそれ以上動こうとはしなかった。

 兎姿のペーターを洗ってみたい。
 それは願望というか、好奇心の一つだった。
 たまに兎姿の彼を抱きしめて眠る時があるが、これがお風呂上りとどんな感じになるのだろうか……と密かに気になっていたのだ。
 いや、潔癖症なペーターの事だから必要以上にお風呂に入ってるイメージがある。
 だから簡単に言えば、兎を洗ってみたかった。この一言だろう。
 適当に理由をつけて頼んでみたところ、彼はあっさりと承諾してくれた。
 そして、今に至る。

「ペーター、大丈夫?」
「はい。とても気持ちが良いですよ、アリス」

 元々が真っ白だった躰は白い泡に包まれている。

「良かったわ……」
「嬉しいです。貴方にこんな風にして貰える日がくるなんて」
「大げさね……というかこれって動物扱いしちゃってるんだから、怒ってもいいのよ?」
「怒るなんてとんでもない! 貴方にならどんな扱いをされてもいいんです」
「…………はあ」

 ペーターは相変わらずだ。
 それに飽きれながらも心のどこかでは嬉しいと感じる。
 彼は潔癖症の兎……なのにアリスには触れられる事を許している。
 自分だけは許されている。
 大好きだと思える相手にそこまで想われて嬉しくない人はいないだろう。
 泡まみれになるのも構わず抱きしめてしまいそうになった。

「アリス、アリス」
「なに? ペーター」
「この後は僕と一緒に眠ってくれるんですよね?」
「ええ、そうよ。その為に洗ってるんだもの」
「嬉しいです」

(ああ、可愛い兎さん……)

 今まで以上に兎姿に弱くなっている自覚がある。
 けれど可愛いのだ。普段の姿ならば絶対に、何をしているのよ! と殴りそうになる事も兎の姿では許してしまう。
 だから、寝るまでは兎なのに起きたら人の姿で逆に抱きしめられていた……なんて事が何回もあっても、このモフモフとした毛並を抱きしめる事はやめられない。

(若干おかしくなっている自覚はあるのよ)

 だけど、可愛い生き物に懐かれて拒絶できるわけがない……と自分を正当化するアリスだった。

<2014/5/7 『ペーター』・『約束』 >

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