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『アリス版深夜の真剣小説60分一本勝負』まとめ2



 プライベッターを使って参加してたワンドロ(ワンライ)まとめ その2 グレアリのみです。
 1.Pretty jealousy(クローバー)
 2.GAME END(クローバー)
 3.Morning Talk(ダイヤ・ミラー)
 4.Daily life scenery(クローバー)




Pretty jealousy

 彼はよく、自分自身の事を心が狭い男だと言う。
 だけどアリスにしてみれば彼ほど寛大な心を持った人はいないと思う。
 その良い例が、ナイトメアの部下をしている点。
 そして、自分なんていう女を恋人にしている点だ。

(こんな可愛げが全くない性格のどこがいいのかしら……)

 グレイ自身に欠点が無いとは言わないが、その欠点すらも好きになれてしまうほどにアリスにとっては勿体ない人だ。
 そんな人がモテないはずがない。
 だから、待ち合わせの間にグレイが誰か綺麗なお姉さんに声をかけられていても仕方の無い事。
 そして自分が近づいても恋人だと思われないのも当然の事だ。
 それで不機嫌になるのはいけない事だし、ましてやグレイにあたるなんてとんでもない……そう解っているのに、ついつい言ってしまった。

『私みたいのより、さっきのお姉さんみたいな人の方がグレイと並ぶと恋人に見えるわよね』

 言ってすぐになんてバカな発言をしたのだろうと後悔する。
 こんな事を言うから自分は子供なんだと、こういう時は見ないふりか流すのが大人の対応だろう……すぐに謝ろうとしたのだが。

「グレイ??」

 こちらを驚いたような表情で見つめるグレイに戸惑って、言うつもりだった台詞が何処かに飛んで行ってしまった。

「ああ、すまない。少し驚いてしまった」
「えっと……いきなりごめんなさい。あ、あのね深い意味は無いの。ただ、遠くから見たらお似合いに見えるな~って本当に思っただけで」

 だからこそ嫌だった、近づきたくなかった。
 でもその反面ですぐに二人の間を割って入りたくなって……結局、わざとらしく彼の名前を呼ぶなんて行動を選んでしまった。

「俺としては、君と一緒にいる時にそう思って欲しいが」
「っ!? そ、それは無理よ。だって私は見た目も中身も子供っぽいし」
「俺にはそうは見えないが……それに謝る必要もないさ」
「だって、会っていきなり失礼な事を言ったわ……だからごめんなさい」
「恋人に妬いてもらえたんだ。俺にとっては嬉しい事だよ」
「や、やいたんじゃな……い……」

 妬いてない、と否定しようと思ったが出来なかった。
 あれが嫉妬から出た言葉じゃないとするのなら、なんだというのだろう。

「嬉しいよ、アリス」
「~~~!!」

 こういう時ですら、グレイは余裕だ。
 シチュエーション的に弁解する必要などないから当然なのだろうけど、妬かれる事にも慣れているようだ。

(それも当たり前なんだろうけど)

 見た目だけでなく彼は実際に大人の男だ。こんなやり取りだって幾度もしてきただろう。

「グレイはやっぱり余裕そうだわ」
「突然どうしたんだ?」
「だって、いつも冷静というか落ち着いていて……私ばかりがこうやって恥ずかしい場面を見せてばかりいる」
「そうでもないさ。俺だって君相手ではなかなかに冷静ではいられない」
「全然、見えないわ」
「……困ったな」

 そう言うが、困惑しているようには見えない。ただ少しだけ表情が柔らかくなった。
 今の台詞でそんな風にどうしてなれるんだろう。
 自分の感情に精一杯なアリスには、ヤキモチを妬かれた事が嬉しくてそれを隠せないグレイの気持ちは気付けない。
 そしてもう一つ言えば、彼の曰くの心の狭さは全てにおいて原因がアリス自身であるという事も。
 グレイとは違う理由から、他人の目を惹きつけるアリスという存在。
 それにやきもきしている狭量な恋人の心境は、アリス本人には伝わらないようだ。
 
<2014/5/8 『グレイ×アリス』『嫉妬』 >


GAME END

 触れようとすれば逃げられる。
 近づこうとすれば距離をとられる。
 普通ならば明らかな拒絶のその仕草が嬉しいと感じる自分は歪んでいるだろう。

 アリスから言い出した恋人ごっこは正式な恋人となるというハッピーエンドを迎えた。
 そして二人がどうなったかというと……傍から見ればなんの変化も無いように見えた。
 二人は相変わらず仕事でもプライベートでも一緒にいるし、アリスはグレイに懐いているし、グレイはアリスを可愛がっている。
 以前からそういう関係なのだと気付いていた塔の職員にとっては、ああいつもの二人だ……と微笑ましく見守っている。
 塔の主はそんな二人の雰囲気を理由にぐったりとし、すぐに仕事をさぼろうとする。
 いつもの光景だ。
 けれど、グレイにとっては少し違う。
 それは二人きりで過ごす時間、アリスと自分以外が誰もいない時に感じる変化だ。
 意識的に、時には無意識にアリスに触れようとすると、彼女は決まって僅かに躰を強張らせる。

「な、なんでもないの……」

 どうしたのか、と聞けばアリスは決まってそう答える。わずかに目を伏せ、頬を赤らめて。
 そんなアリスの表情をしっかりと見たくて頬に触れれば彼女は恐る恐るこちらを見る。

「グレイ?」

 その瞳は自分の行動がどう思われているのかという不安で揺れている。

(ああ、可愛いな……)

 アリスが恋愛に慣れていない事はすでに知っている。
 だからこそ、他人から見れば拒絶の様に見える彼女の態度がただ戸惑いからくるものだと解る。
 例え実際に拒絶が混じっていたとしても、今更アリスを手放せるわけがない。
 アリスから気持ちを伝えられた時、誰にも渡さないと誓ったのだ。

(誰にも渡さない、何処にもやらない)

 ごっこ遊びだと自分に言い聞かせる必要はない。

(終わりを言い出したのは、君の方だ……)

 きっといつかそう言ってアリスを追いつめる時がくるだろう。
 だが今は僅かな触れ合いと、過度な意識故の距離を味わっていよう。
 
<2014/5/25 『グレイ×アリス』『恋人ごっこ』 >


Morning Talk

 いつも目を覚ますのはグレイの方が先だ。
 最初の頃はアリスを起こさないようにそっとベッドから離れていたが、最近は彼女が起きるまで寝顔を見ている事が増えた。
 目を覚ました瞬間にぼうっとした表情、たまに見せるもう一度眠りにつく仕草、目の前にグレイがいた事に驚き赤面する流れは何度見ても飽きない。
 いい加減慣れろ、と心の中で思うがそういう初々しい反応を見せるところも面白いと感じるのだから仕方ない。
 そして寝顔を見られていた事に気付き、可愛らしく怒るのもいつもの流れだ。
 赤くなりながらベッドから離れ、身だしなみを整えるアリス。その間に自分もまだ着る事に違和感のあるスーツに着替える。

「ん? どうした」

 ふとアリスがこちらを見ているのに気付いた。

「う、ううん。なんでもないわ」
「なんでもないようには見えねえぞ?」

 一歩近づくと、アリスは一歩後ずさる。
 明らかに何かを言いたげ、もしくは考えていた表情をしている。

「俺には言えない事でも考えてたのか?」
「そ、そうじゃないわよ」
「じゃあ、言えるだろ?」
「だから何も考えてないわよ! 痛っ!?」

 じりじりと近づき、後ずさっている間に壁際まで追い詰められていたアリスは頭を軽く打ち付けてしまったようだ。

「大丈夫か?」

 後頭部を擦っているアリスは平気だと言う。

「ったく、そう必死に逃げなくてもいいだろう。ほらちょっと見せろ…………別に傷にはなってないな」
「ただ頭をぶつけただけだから大丈夫よ。それに逃げたんじゃないわ」
「俺には逃げたように見えたんだよ。ああいう態度をとられると追いかけたくなるんだよ」
「~~~!!」

 近づいたついでとばかりに額に軽くキスをすればアリスはすぐに表情を変える。

「グレイ!」
「怒るなよ。何か冷やすもんでも持ってくるか?」
「平気よ、すぐに治まるから」
「そうか? 後で具合が悪くなったらすぐに言えよ? 抱えて部屋まで運んでやるから」
「ナイトメアと同じ扱いしないでよ」
「ばーか。あいつとは違う運び方をしてやるよ。なんだったらすぐに運んでやろうか?」
「い、いらない! これから仕事なんだから!」
「ああそうだったな」

 ぶつけた事なんて忘れて怒っているアリスを見て本当に大丈夫なのだろうと安心する。
 まあそんな態度は表には出さないが。
 アリスをからかう事も楽しいが、それ以上に心配している自分を見せるのはなかなかに抵抗がある。

(世話をやきたい……っていうのはこういう事を言うのか?)

 恋人に対しての場合はもっと別の表現があるのかもしれない。
 だが、まともな恋人というのも初めてであるグレイにはまだそれを表す言葉が解らない。
 一つだけ言えるのは、それだけアリスに溺れている、という事だろう。

<2014/7/5 『若グレイ×アリス』 >


Daily life scenery

 アリス自身にしてみれば恋人ごっこからちゃんとした恋人になるのは大きな出来事だったが、傍から見ればずっと以前から二人は恋人にしか見えてなかった。
 それはグレイの態度のせいであったが、そこまで解るほどの余裕がアリスには無く。自分はそんなに解りやすかったのだろうかと自分のせいと勘違いしていた。

『相も変わらず、君は騙されているな』

 ナイトメアが知ればきっとこう言っただろうが、生憎とここ暫くはため込み過ぎた仕事のせいで執務室に軟禁状態にあり、彼女に助言をする暇など無かった。

 アリスが僅かに煙草の匂いを纏うようになったのはいつの頃だったが。
 最初は意外と好奇心旺盛なアリスがグレイに話しかけにいっているせいだろうと、傍観していた。
 好奇心はあるくせに警戒心もあるという、まるで猫のようなアリスがいつの間にかグレイに懐いていた時は驚いたが、それでもまだ彼女にとっていい方向に進むだろう見守る事にした。
 少しだけそれを誤りだと気付いたのはグレイからのアリスの対する気持ちが見え始めた頃だ。
 目的の為に部下を利用するつもりではいたが、こうも簡単に話が進むとは思っていなかった。
 アリスをこの世界に引き止める為の存在……ハートの国では誰もそれになれなかった。
その役目を本人には何も言わずに押し付けた。
 計画は驚くほど順調に進み、けれどそうなったら今度はこいつで良いのかと不安になってきたのだ。
 アリスにしてみればグレイは頼れる大人の男性らしいがそれは誰の事だ、と言いたくなる。
 確かに出来る部下ではあるが、こいつがそんな面しか持っていない男でない事はナイトメアが一番知っている。

『君は騙されているぞ!!』

 それは一時期ナイトメアの口癖になりかけた台詞だった。

『なんて失礼な事を言うのよ』

 そのたびにアリスには怒られ、グレイはそんな二人の会話を困った表情で見ていた。
 しかしそれが、余計な事を言うなと言わんばかりの視線になったのはいつからだったか。

(あんな念を上司に送る奴のどこが真面目な大人だというのか)

 グレイ自身も自覚して、それをアリスに隠している。
 いつか見せる気なのか、隠し通す気なのかはまでは読めないが、暫くは今のままでいくのだろう。
 騙すというには語弊があるが、それが一番解りやすい。
 だが、騙しているのはグレイだけではない。

(一番は、恐らくこの私だ)

 アリスを騙し、惑わし続けている夢魔である自分自身。
 だがそれが解っていても、友人としては助言したくなる。
 いくら仕向けた事とはいえ、その男でいいのかと――

「ナイトメア様、考え事も良いですが手を動かしてください」
「……本当に、お前で良いのだろうか」
「突然何ですか」

 軟禁中の執務室に見張り役のごとく存在しているグレイをじろりと睨む。

「訳の分からない事を仰る暇があるのでしたら、手を動かしてください!」

 困惑気味だった表情はすぐにさっきまでの厳しいものに戻る。
 僅かに読める思考はその表情以上に厳しい……というか、とても苛ついている。

(解りやすくなったものだ)

 ナイトメアが仕事を溜めこめばそれを終わらせるまで監視をしなくてはいけなくなり、今の状態のようにグレイも部屋に篭る事になる。
 それはつまりアリスに会えないと言う事で、さすがのグレイにも限界が来ているようで遮断しきれていない心の声がナイトメアの元に届く。

(いや、こいつの場合はわざとの可能性もあるか)

 恋人に会えない苛立ちを上司にぶつけるなど大人げないにも程がある。
 そう言い返せば、そもそも上司がちゃんとしてくれれば……と返ってくるのだろう。

「ナイトメア様!」

 一向に動く気のない上司を急かす声がする。

「ああ、解っているよ」

 観念してペンを握る。
 何はともあれ、ナイトメアの計画は順調だ。
 ただ、思った以上にアリスに落ちたグレイというのは厄介であり、それに巻き込まれるのはいささか精神的に悪い。
 しかしそれすらもいつかは日常となっていくのだろう。
 
<2014/9/7 『グレイ×アリス』『初々しい』 >


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