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ラヴコレ参加の時の村梓SS



 遙か6 ロンド設定
 村雨×梓
 前回ラヴコレ参加の時に無配で置いてたものです。




「ねえ、梓ちゃん? 前から気になっていたことがあるんだけど……」

 それは、ハイカラヤにいるのは見知った顔ぶればかりとなり、そろそろ店じまいの準備をするかといった時間のこと。
 コハクと一緒に給仕の手伝いをしていた梓にマスターがそう言って話を切り出したのは――

「煙草の匂いですか?」
「そう! 梓ちゃんからは煙草の匂いがしないのよね!」
「えっと……私のいた世界では喫煙は二十歳からっていうのがあるし、そもそもあまり興味が無いので……」
「ああ、そういうことじゃないのよ。貴方自身が吸わなくても、村雨と一緒にいれば当然うつるものじゃない?」
「…………えっと……?」
「マスター、彼女解っていないって表情をしていますよ?」

 助け舟を出してくれたのは常連さんのスーツ姿の男性だ。
 だけどこの場合は助け舟というよりも追い打ちと言った方が正しかった。

「移り香っていうのがあるでしょうよ~。村雨の場合は絶対に煙草だと思うんだけど、そこらへんどうなの?」
「あっ!? え、えっと……ええ?」

 マスターの言葉の意味が解ったとたんに頬を赤くさせる梓に、常連の面々も楽しそうで悪そうな表情を見せる。
 これは、からかわれるパターンだと気づいた時には遅かった。

(えっと、た、多分村雨さんは受動喫煙とかそういうのを気にして私の前ではあまり煙草を吸わないようにしていると思うんだけど……これってそういう答えを期待してる感じじゃないよね??)

 頭の中で必死にこの状況から逃げ出す言い訳を考え始める梓をよそに、悪い大人たちは勝手に盛り上がってしまっていた。

「いやいやマスター。彼女からは珈琲の香りがするでしょう? 村雨先生と言えばそれですよ!」
「何言ってるのよ、そんなのハイカラヤに通っていれば皆そうなるわよ。現にコハクちゃんだってそうでしょうよ」
「はいはーい!? おれがなんですか~?」

 皿洗いをしていたコハクも名前を呼ばれたことで話の輪の中に入ってきた。

「コハクちゃんもすっかり、ハイカラヤの一員よねって話よ」
「ああ~。そうだね。最近はダリウスさんにも、おれといると珈琲が飲みたくなるって言われてるし」
「ほらね、だからあんたの案は却下ね」
「ん? 梓さん、マスターさん達なんの話してたの?」
「え!? えっと、私からも珈琲の香りがするようになってきたって話……かな?」

 その前にあった流れを自分から言うのはさすがに恥ずかしすぎて省いてしまい、まったく説明になってない答え方をしてしまったが、コハクはそれでも満足したようで。

「じゃあ、おれと貴女はお揃いってことだね! 女神様とお揃いだなんて嬉しいなぁ!」

 と無邪気な笑顔を見せたと思うと、ギュッと梓のことを抱きしめた。

「コ、コハク!?」
「お揃い同士で親愛のハグだよ!」
「ど、どこでそんな言葉覚えてきたの!?」
「秋兵さんが教えてくれた!」
「あらあら、微笑ましいわね~」

 その後、移り香に関しての話が掘り下げられることはなく常連さん達はそれぞれの家に帰って行った。
 自分達のことが話題にされていたとも知らないだろう村雨が一階に下りてきたのは、食器の片づけももう終わりに差し掛かっていた頃だった。

「悪かったな、今日は手伝いを出来なくて」
「いいのよ。そのおかげで楽しい話も出来たしね」
「ん? 高塚は、どうした?」
「コハクちゃんと外にいるわよ。あの子達って本当に仲良しね~」
「ああそうだな。歳も近いし、一時期はダリウスの所で一緒に暮らしていたんだ。気が合うんだろうさ」
「……はあ、あんたって、本当にからかいがいのない男ね」
「それは褒め言葉として取っておくよ」


「村雨さん……入ってもいいですか?」
「ああ」
「私に用事ってなんですか?」

 マスターと話した後、梓への伝言を残すと村雨はすぐに自室を戻ってしまっていた。
「まあ、もう少しこっちにおいで」
「はい……?」

 言われるままに村雨に近づき、ちょうど目の前に置かれていた座布団の上に座る、が。

「もう少し、こっちだな」
「えっ!? うわ!?」

 それでもまだ遠いと言わんばかりに梓に腕を引き、その躰を抱きしめた。

「な、な、なんですか!? いきなり」
「いや……まあ、俺にも人並みに独占欲があったてことさ」
「???」
「まったく解ってないって表情だな。まあそういうところも可愛いとは思うが……少しは警戒して欲しいもんだな」
「…………えっと……あの……話、聞いてました?」
「さあ、な」

 聞いていたというよりは、見ていたという方が正しい。
 作り置きをしていた珈琲がなくなったので補充の為に一階に降りると、閉店の時間も近いというのに聞こえてきたのは賑やかな様子、その中でもよく聞こえたのはコハクの声だった。
 自分が目撃したタイミングの悪さには苦笑しか出なかったが、あのコハクの言動も見慣れたものだと解っていたはずだった。
 が、それでもなんとも面白くない気分になったのも事実だ。

「確かに抱きしめられたのは吃驚しましたけど、それ以外は今までと同じだからつい――」
「そうじゃなくて、いや、そっちの意味も否定はせんが、今のこの状況で少しは警戒しろと言ってるんだよ」
「それは無理です。だって、村雨さんと一緒にいられるのは嬉しいから」

 迷いもなく言い切られてはこちらが黙るしかない。
「あんたは、若いな」
「それ……子供っぽいって意味ですか?」
「いや、そういうところも愛しいって意味だよ」
 そう言って少し膨れた頬に口付けた。
 すると戸惑って、でも何か物足りなさそうな表情見せる梓にまた愛しいと想う気持ちが増えた。
 だから次は彼女の期待に応えるように、その口唇に触れるのだった。

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