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忘れられない、忘れないように



 ユリウス×アリス
 おもちゃ箱の国のアリス(パロディver.)設定
 フォロワーさんからのリクエスト(ユリアリ・学パロ)





「あれ?」

 アリスが忘れ物に気付いたのは、一旦作業を止めて夕食の為に食堂に向かおうかと思っていた時。
 シンフォニアでの初めての冬休みが明日と迫り、アリスは一度実家に帰る為の準備を始めていた。忘れ物はその実家に持っていてやろうとしていた課題に使う本。
 朝に図書館で借りてそのまま教室の机の中に入れっぱなしにして、忘れてしまったようだ。

「理由を話せば平気かしら?」

 明日の朝に行けば良いのかもしれないが、明日は友達と一緒に買い物に出掛ける予定が入っているし、このままの状態で過ごすのが気持ち悪い。

「ダメだったら、諦めればいいわ」

 と諦め半分で行ったのだが、あっさりと許可を貰ってしまった。
 職員と、数名の許可を貰っている生徒が居ると聞いたが、夜の校舎は静かで…少しだけ怖い。
 怖いのに、ちょっとだけ楽しくもある。

「…あった…」

 アリスの予想通りに本は机の中に入れたままになっていた。
 これで用事は終わってしまった。
 後は早々に戻って夕食を食べて…と頭の中では解っているのだが、アリスの足は来た道を戻らずに別の所へと進んでいく。
 実験室などの特別教室が並ぶ辺り…そこに来るとわずかに物音が聞こえる。
 残っている生徒の殆どが、実験や研究結果をまとめる為に居るとも聞いていた。
 ドアの上部分に付いている窓から室内をこっそりと観察して回る。

「いた………」

 目当ての人物を見つけたアリスはその部屋のドアを軽く叩く。

「誰だ」

 どう考えても歓迎していない返事だが、そんな事は気にせずにドアを開ける。

「…何をしている?」

 突然やってきた相手を睨み付ける視線はすぐに驚いたものに変わる。

「やっぱりユリウスも残っていたのね」
「お前は何をしているんだ?」
「私はこの本を取りにきたのよ…明後日、帰る時に持っていく為にね…」

 会話の間もユリウスの手は止まる事なく、何かの実験をしているのか薬品を調合していく。
 作業をしているテーブルの向かいにある椅子に座り、アリスはその様子を観察する。
 すでに分量を量り済みの液体や粉末状の薬品を一切の迷い無くビーカーに入れる。薬が入るたびに色が変わっていくのが面白い。
 何を作ろうとしているのか全くと言っていい程解らない、数枚のレポート用紙に実験内容が書かれているのだが、それを見ても今のアリスには理解出来そうになかった。

「見ていて面白いのか?」

 一先ず作業が終わったのか、ビーカーに集中していたユリウスがこちらを向き、しかも話しかけてきた。
 いきなりの事で返事がワンテンポ遅れてしまった。

「え、うん…面白いわよ?次々に色が変わっていくのが…それって何を作っているの?研究用?」
「いや、それはもう終わっている。その途中で浮かんだ…遊びみたいなものだ」
「………」

 意外な答えにアリスはジーッとユリウスの顔を見つめてしまう。

「なんだ?」
「遊びって…」
「なんだ?私でも、息抜きくらいはするぞ!」
「…ふふ。実験の息抜きがまた実験なの?」

 遊びや息抜きと聞けばユリウスに似合わないが、その方法がこれならばむしろ彼らしい。
 クスクスと笑うアリスを不思議そうに、でも少しだけ睨みながらユリウスはビーカーを横に揺らしている。
 揺れに合わせて動くビーカーの中の液体は少しだけトロッとしている。
 それを確認したユリウスはさっきアリスがチラッと見たレポート用紙に目を通していく。

「そこに作り方が載っていたの?」
「ああそうだ」
「何が書いてあるのが全然解らなかったわ」
「入学したばかりの奴には理解出来ないだろう………それに…」
「ん?」

 何か続いたような気がするが、段々と小さくなっていく声で聞き取れなかった。
 自分に言った事ではないのだろうと納得して、アリスはレポート用紙を読み進めるユリウスの顔を見つめる。

(明後日にはもう会えないんだよね…)

 実家に帰る期間は一週間。年が明ければ帰ってくる。それでも…毎日会えている人と一週間会えないというのは辛い。
 それが恋人なら尚の事。
 だからユリウスが「戻れ」と言わないのを良い事に、アリスは今こうやってただ彼を見つめている。
 夏休みの時の方が長く離れていたというのに…いや、その時の寂しさを体験してしまったからだろうか?

(ずっと居たいな…)

 ユリウスは、寂しいと思ってくれないのだろうか?同じことを思って欲しい…そんな欲が出てしまう。

「アリス」
「なに?」

 見つめ過ぎている事を咎める為に呼ばれたのかと思ったが、彼がこちらへ来いという様に手招きをしている。
 それに従ってアリスは、彼のすぐ隣の椅子に腰掛ける。

「これの匂いを少し嗅いでみろ」

 そう言ってビーカーをアリスの前に差し出す。青色の液体が入ったビーカー…何かは知らないが、ユリウス曰く『遊び』で作った薬品。

(匂いって………なんだろう?甘い感じが…何かの果物みたいな)

 恐る恐るビーカーに顔を近づける。薬品らしい匂いがすると警戒したが、実際にしたのは甘い匂い。
 先ほどの工程を見ていなければきっと「何の果物の匂いなの?」と聞いていたような。

「どうだ?」
「どうって…何を作ったの?甘い匂いで…これって香水とか?」

 でも香水なら、こんなにトロッとしていては使い辛いだろう…。さっきの彼を真似てビーカーをユラユラと揺らしていると、ユリウスの手がサッとビーカーを奪い取った。

「効き目がないじゃないか…エースの奴め」
「エース?それ、エースから聞いたものなの?」

 とたんにビーカーの中身が危険物に見えてきた。エースの成績は知らないが、普段の彼を見る限りまともなものを教えたとは思えない。

「ちょっとさっきの用紙貸して!!」

 一度は解読出来なかったものだが、せめて何が出来上がるのかくらいは読めるはすだ。

「…よ、読めない…」

 一番上に書かれている単語がその完成品の名前の様な気がするが、それすら解読できそうになかった。

「そもそもこれって、何処の国の文字なの!?」
「あまり知られていない小国のものだ。なんでこれをエースが知っているのは私にも解らん」
「それを読めるユリウスも、私にとっては訳が解らないわ。ねぇ何の薬なの?」
「…自律神経に作用する効果のあるものだ。リラックス効果のあるもの…と言った方が解りやすいか?」
「リラックス…なら、私に効き目が無くても仕方無い様な…」

 自分でもいうのもあれだが、そこまで疲れているという感覚はない。たしかに彼と離れるという理由で沈んでいる部分もあるが、それはそんな薬品では拭えるものではないだろうから。

「私よりもユリウスで試すべきでしょ?」
「いや…まぁ…そうなんだが…」

 言いよどみながらも、ユリウスはアリスの手を引く。それはもっとこちらへ来いと言っているも同然で、アリスも引かれるがままに近付き…しまいには彼の膝の上に座っていた。

「な、何!?」
「奴曰く、これは酒に近いものだとも言っていた。だからお前で試すのならば匂いを嗅がせる程度にした方が良いだろうと。そして、それでもダメな場合はこうしろと言った」
「え?…んん!?」

 ビーカーの中に指を入れたユリウスは謎の液体を少しだけ掬い取り、それをアリスの口唇に塗った。
 反射的に口唇を舐めてしまう…匂いと同じ様に味もまるで果物のよう…だけど少しだけピリッという刺激がある。

「な、何!?これ…」
「単的に言えば、媚薬だな」
「は…はい!?な、何を作ってるのよ。そ、それに何を舐めさせたのよ!?」
「お前の為に作ったのだから、お前に対して使わなくてどうする…」

 口の中を濯ぎ行きたいが、ユリウスの両腕ががっちりとアリスを押さえ込んでいてとても動けそうにない。
 それに、なんだかおかしい。熱くて、クラクラする。
 まっすぐ座って居られないくらいになり、アリスはユリウスの躰にもたれ掛かる。
 彼の肩に顔を押し付けていると、そのクラクラが少し弱まった。

「やはり効き過ぎたか」
「な、なんなのよ~」

 済まなかった、と謝りながらアリスの背中を擦る。

「なんで、こんなもの作ったのよ…」
「お前が、居なくなるからだ」

 出来心とか冗談とか、そういう言葉が出てくると思ったアリスはユリウスの返事に耳を疑った。

「え?」
「お前が暫くシンフォニアを離れるからな…」
「それと、これがどう関係、するのよ…」

 舐めた量が少しだったのと、ユリウスが擦ってくれたおかげだからか、さっきのクラクラとした感覚は弱くなった。
 ユリウスの肩に押し付けていた顔を上げ彼と向かい合うと、ユリウスの顔はうっすらと赤くなっていた。

「お前が、私の事を忘れないようにする為、だ」
「わすれる…?」
「そうだ。私の事を忘れないように…」
「っん…」

 囁きながら彼の口唇が自分のと重なる。

(甘い味がまだするみたい…)

 さっきの薬と同じ味、そしてクラクラとする感覚まで戻ってきた。
 でも不思議と気持ち悪さはない。むしろ、快さがある。

「………ふ…私との事を忘れないようにさせたかったんだかな。お前にはまだ早すぎたようだ」

 まるで子供扱いをするような言葉に、アリスの中で何かかが芽生えた。

「効かなかったのは、そんな理由じゃないわ…」

 対抗心とでも言うのだろうか?彼の事も動揺させたい。

「私には、ユリウスで十分だもの。貴方と居るだけドキドキするし、こうしているだけでクラクラするの…」
「…っ」

 今度はアリスの方からユリウスに口付ける。
 自分でも大胆な事を言っているし、やっている自覚はある。普段ならば絶対に言えない台詞を言ってしまったと心の中では物凄く照れている。

(さ、さっきの薬のせいよ!!)

 この時だけは効かないと言い切ったばかりの薬のせいにする。

「アリス…?」
「そ、それに忘れたりなんかしないわよ…出来ないもの、そんな事…」

 他にも伝えようとした言葉は沢山あったがそれをユリウスに伝える事は出来そうにない。

「ユリ…ス…んっ…あ…」
「アリス…」

 さっきよりももっと深いキスに、彼の名前すらろくに言えないのだから。
 それでも、きっとユリウスには伝わってくれたと思う。
 自分も、彼と離れる事が寂しいと。
 そして…忘れたくたって、忘れられるわけがないと。

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secret

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comment

早速読みました!!!ユリウスが媚薬をつくるなんて///もうこのあとを想像するとニヤついてしまいます(*´∇`*)おいしくいただきましたよ///

この後…ここ校舎内なんですよね~wwとか思いつつも、アリスが止めなければ色々とやってそうですww
ふふふ媚薬作っちゃいましたwwいくらエースが大元とは言え、作ったのはユリウス本人ですからね~。
後でその事をエースに知られて、追求されればいいよ…なんて思ったりww
コメントありがとうございました~!!

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水青 奏

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・乙女ゲー
・文字書き

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