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ほら、おいで。



 グレイ×アリス
 ジョーカーの国のアリス設定
 診断メーカーの『ふたりへのお題ったー』をグレアリでやった結果で出た
 『待ってるだけでも、黙ってるだけでも/「ほら、おいで。」/君のバイバイなんて信じない』の中から「ほら、おいで。」を書きました
 フォロワーさんへの誕生日プレゼント代わりでもあります


 



 一度目はエースに邪魔をされ、二度目はグレイを狙う刺客達に邪魔をされたハートの城領土内での二人きりの時間。
 三度目の正直という言葉通り、今回は誰にも邪魔される事なく買い物が出来ている二人。
 これが完全にプライベートならば嬉しいが、生憎と今回のは仕事関係の為あまりデートといった雰囲気は無い。
 けれど二人きりでいられる事に変わりは無くて…しかも、恋人同士となって初めての外出だ。それに気付いたとたんに照れてしまうアリス。
 グレイの方を見られずにわざと反対側に視線を移すと、ちょうど店のショーウィンドウに二人の姿が映った。
 アリスもグレイもいつも通りの服…そのせいだろうか、恋人というよりは兄妹の様に見えてしまう。

(せめて会合用の服にすれば良かったかしら?)

 そうすれば少しは恋人らしく見えたかもしれない…でも今回は仕事の一環なのだからそれに対してそんな気合の入れた格好で行くのは不真面目と受け取られそうで怖くて、結局はいつもの服になってしまった。
 自分自身が見ても、恋人には見えない二人。他人が見たらもっと見えないだろう。

(どうすれば恋人に見えるんだろう?見た目はすぐには変えられないからそれ以外で…)

 もっと距離を詰めて歩く?

(でもそれだと、ただ歩きづらくなるだけよね)

 それなら恋人らしい会話をすればいい?

(それってどういう会話なのよ!)

 だったら手を繋ぐくらいなら…。

(それくらいなら出来るかしら?)

 でもどうやって手を繋げばいいのかが解らなかった。ここで素直に「手を繋いでも良い?」なんて聞ける度胸は持ち合わせていない。
 よくあるのは、寒いから手を繋ぐという流れだけど、此処は春の季節。寒さとは無縁のポカポカとした暖かい陽気。花冷えという言葉もあるくらいだから肌寒くもなりそうだけど、そんな気配は全く無い。
 もう一つは人ごみの中で逸れないように。でもこれも今二人がいる通りの人数からいって難しいだろう。
 他にはどんな切欠があるだろうか?そう考えているうちにアリスの歩きは段々とゆっくりになり、その結果グレイとの距離がだいぶあいてしまった。
 それに気付いたグレイが立ち止まり、そしてアリスの近くまで戻ってきた。ずっと横にいると思っていた彼の姿が突然目の前にあった事に驚くアリス。

「どうかしたのか?アリス」
「え!?ううん。なんでもないの…ごめんなさい!残りの物をさっさと買って帰りましょう!」

 考えていた内容が内容だけに恥ずかしくなったアリスは、今までの案を忘れる為とグレイにこれ以上追求されないために無理矢理に誤魔化し、先を歩く。
 グレイもアリスが何かを誤魔化しているのには気付いて、でもそれを仕方ないなとでも言う様な少し困ったような笑みを浮かべるだけで、アリスに合わせてくれた。
 それに対して誤魔化せてホッとすると同時に、少しだけ残念に思う気持ちが片隅にあった。


        ○●○●○●


 それから数時間帯後。なんとか二人同時に取れた休憩時間。どちらかの自室に行って休む程の時間は無いので職員共有の休憩室に入ったが、気を利かせてくれた他の職員達のおかげで二人きりになれてしまった。
 先にグレイにはソファーに座ってもらい、アリスは手早く二人分のコーヒーを淹れてその隣に座る。
 二人同時にコーヒーを口にすると、安心からか溜息が出てしまう。
 カップの中身が半分になるまでは二人共無言のままにコーヒーを飲んでいた。

「そういえばアリス、聞きたいことがあるんだが良いか?」
「もちろんよ」

 先に口を開いたのはグレイだった。仕事の事だろうと思ったアリスはカップをテーブルの上に置き、グレイの方を向く。

「こないだの城の領土内で…買い物中に何を考えていたんだ?」
「………え?」

 仕事中に使っているメモ帳とペンをそれぞれの手に持ったままアリスは一瞬固まってしまう。

「えっと…それは…」
「俺には言えないような事なのか?」
「そんなんじゃないわ!ただ…その…恥ずかしいというか、くだらないというか…わ、笑わない?」
「ああ。俺は君の事が全て知りたいんだ…だから教えてくれ」

 アリスはメモ帳とペンもテーブルの上に置き、空いた手で自分のスカートをキュッと掴んだ。そして下を向いたままあの時考えていたことを全て打ち明けた。
 恋人に見られたくてどうしたらいいか考えていた事、手を繋ぐ切欠を悩んでいた事。改めて口にするとなんとも馬鹿馬鹿しい内容に呆れてしまう。
 きっとグレイも呆れているだろうと、そうっと彼の顔を見ると…グレイはただパチパチと瞬きをしながらアリスを見ていた。

「グレイ?」
「あ、ああすまない。少し驚いたというか、なんというか…」
「仕事中に考える内容じゃないって事はちゃんと解っていたの…でも…す、少しでもグレイの恋人に相応しくなりたくて…」

(こんな風に思う事自体が子供っぽいのは解ってるけど…)

 さすがにそれを最後までは口にする事は出来ず、アリスは黙り込んでしまう。
 さっきよりもきつく握る手の上にグレイの手が優しく触れた。

「アリス、こっちへおいで?」
「…こっち?」
「そう、此処においで」

 ポンポンと自らの膝辺りを軽く叩くグレイ。その意味を理解したアリスの顔は一瞬で真っ赤になる。
 でもそんなアリスのことなど気にせず、グレイは触れるだけだった彼女の手を取る。

「な、なんで!?」
「君をもっと近くに感じたくなったからだよ…ほら、おいで」

 ぐいっと手を引っ張られ、アリスはグレイの膝の上にチョコンと座る。思わず躰に力が入り、背筋はピンと伸びてしまう。そんなアリスをグレイはぎゅっと抱き締めた。

「なななな何!?」
「いや、君があまりに可愛いことを言うから、抱き締めたくなった」
「か、可愛くなんか!」
「可愛いよ、とても可愛い」

 二度目の「可愛い」を耳元で囁かれ、アリスの躰は益々硬くなる。

「君は間違いなく、俺の恋人…俺のだけのものだよアリス」

 口唇にほんの一瞬触れるだけのキスを贈る。でもたったそれだけの事でアリスの顔はさっき以上に真っ赤になる。そんなアリスの反応でも嬉しいのか、グレイは笑顔で…少し余裕そうにも見えた。

(こ、こんな反応だからグレイの恋人には見えないのかしら…こんな子供だから)

 それが少しでも彼と釣り合いたいからなのか、彼の余裕を崩したかったからなのかは解らない。でも気が付くとアリスは自らグレイに抱きつき、自分の口唇をグレイの口唇に押し当てていた。
 キスというよりも本当にただぶつけているだけで…でもアリスにはそれが精一杯だった。
 口唇を離し、彼の反応が怖くてきつく瞑っていた瞼をあけると、至近距離でぼやけた視界だがそれでもグレイが驚いて目を見開いているのは確認できた。
 けどそれもすぐに見えなくなる。グラリと視界が揺れ、気が付くとアリスの視界は天井とそして、少しだけ怒ったような表情のグレイしか見えなくなった。

「グ、グレイ?」
「君は悪い子だな…アリス」
「わ、悪気があったんじゃないの…ただ少し…えっと…」

 だんだんと小声になりながら説明しようとするが支離滅裂で自分でも何を言っているのか解らなくなる。それにグレイは彼女の上から退く気配は無く。

「君は十分に大人の女性だし、俺には余裕なんてない…それを教えてあげよう」
「ちょっと待って!!今って休憩時間よね?」
「そうだな?あと二時間帯程で終わる」
「だったら!!」
「だから…あまり抵抗しないでくれ?」
 
 口唇スレスレのところに口付けをされ、アリスは何も言えなくなる。

「愛しているよ、アリス」

 その言葉と一緒にされたのはさっきとは比べ物にならない深いキス。それをアリスが拒否なんて出来るはずもなく、けどせめてもの抵抗で自分からキスをした時と同じようにギュッとグレイの首に腕を回した。

 二人きりで過ごした余韻を引きずったままに仕事に戻り、早々にナイトメアに読まれ彼が怒りながら血を吐き、書類を数枚駄目にするのは…もう少しだけ後の話。

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