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HONEY,HONEY



 グレイ×アリス
 クローバーの国のアリス設定
 蜂蜜の日ネタ…のつもりですが、色々と方向性間違えました。
 別の乙女ゲーのイベントをグレアリで書いてみました。





 もう声も出ない。躰も動かせない。
 そう思っているのに、その心とは裏腹に反応するこの躰が憎らしい。

「いや……ヤダ……」

 掠れた声と共に零れる涙はその瞳を覆う布に吸い込まれ、彼には見えない。
 例えこの布が無くても、今更涙なんかで彼が許してくれる訳がない。
 もしも許されるのならアリスはとっくにこの爛れた空間から抜け出せているはずだ。

「グレイ、やめて。もうやめて」
「どうしてだ」
「だって、こんなの……やっ!!」

 何も見えない視界、ただ彼が自分の肌に触れただけで声が出てしまう。

「肩に触れただけだ、そんな反応をしないでくれ」

 くつくつと笑いながら、さも楽しい事の様に話すグレイ。その言葉は途中で止まり、彼の吐息が耳にかかる。

「さっきまでもっと、君に触れていただろう?」

 その台詞に、彼の言おうとしている情景が頭に浮かぶ。
 首筋、胸元……と降りていくその指が触れる箇所には、グレイの付けた痕がいくつも残っている。
 こうやって視界を隠される前、そして何も見えない状態でも、グレイがしてきた事の全てを思い出してしまった。

「いや!!!……ごほっげほっ!」

 それを振り払うように叫ぶアリスだが、限界に近い喉が悲鳴を上げる。
 両手を縛られた状態では口を押さえる事も出来ず、ただその痛々しい堰が部屋に響く。

「ああ大丈夫か? アリス」

 背中を摩る手は、さっきまでアリスを滅茶苦茶にしていた手とは思えない程に優しい。

(どうして……?)

 どうしてこうなったのかアリスには解からない。
 恋人ごっこなんていう馬鹿げた事を言い出した自分への仕置きなのか、罰なのか?
 でもそれ以前の記憶が曖昧なアリスには切欠が思い出せない。

「あんなに声を出し続けていたんだ、喉を痛めたんだろう……蜂蜜があるんだ。口を開けてごらん」

 逆らう気力もない、そしてこの苦しさから早く解放されたいアリスは大人しく口を開く。
 食器の冷たさと、蜂蜜の甘さがくると思っていたアリスの予想は少し外れる。
 実際に感じたのは甘さと、舌に触れる指の感触

「んん!?」

 驚き身を捩ろうとするアリスだが、グレイの力の方が強い。逃げないように顔を押さえつけられれば、そのまま大人しく舐め続けるしか無い。

「良い子だから、動かないでくれ」
「んん……っ」

 次第に蜂蜜の甘さに心地よさを覚え、アリスは自ら舌を動かして指を舐める。その様子にグレイが微かに笑ったような気がした。

「美味しいか? アリス」
『アリス』

 素直に返事をしようとしたアリスの耳に彼とはまた別に自分の名前を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
 何も見えない状態なのに無意識に辺りを見回すように顔を動かす。

「アリス、いけない子だな……何を気にしているんだ?」

 その瞬間に顔に触れていた指に力が込められ、それと同時に聞こえた低い声にアリスはビクッと躰を震わせる。

「違う……」
「何がだ? 俺以外の何を、誰を気にしていたんだ? 誰か此処に来るとでも言うのか?」

 アリス自身にも今この部屋が何処にあるものなのか解っていないのに、誰が助けに来られるというのだろうか?
 ナイトメアならば夢を使ってくる事も可能かもしれないが、何故かアリスにはそれは有り得ないという確信があった。
 何かが違う。
 何もかもがおかしい。

(そうよ……今目の前にいるのだって、グレイじゃないかもしれな……っ!)

 もしかしたらこの部屋には二人いて、一人は無言で自分に触れグレイはそれに合わせて話しかけているだけかもしれない。
 自分の中に沸いた疑問に、アリスは先ほど以上に躰を震わせる。
 今、頬に触れている手がグレイのものでは無いかもしれない。それは目隠しでただ触れられる事以上に恐怖で、そして不快なものでしかない。

「いやっ!!!」
「……アリス?」

(嫌だ。グレイ以外に触れられるなんて嫌だ)

「嫌……やだ! グレイ、グレイ! イヤ、んんっ!?」

 必死に助けを呼ぶアリスを黙らせるように、その口を塞がれる。
 絡む舌と、微かに感じるタバコの味はグレイのものだ。

「アリス、大丈夫だよ」

 壊れ物を扱うかのように抱きしめるその腕の温もりも、優しく囁くその低い声もグレイのもの。

「君は俺のものだ。他の誰にも触れさせない……ずっと此処にいるんだ」
「うん……」

 否定しないといけない、拒絶しないといけない。こんな関係はおかしい。
 そう頭では解っているのにアリスは頷いていた。
 グレイ以外に触れられるよりも、ただ二人きりでいたい……そう思ってしまった。

「グレイ、好き。大好き」
「俺も愛しているよ」

 想いを告げながら零れた涙はまた目隠しの布に吸い込まれる。
 それでもグレイは、見えない涙を拭うかのようにアリスの頬に舌を這わせた。
 そしてそこで、アリスの意識は途切れる。


        ○●○●○●


「……ス……リス、アリス」
「ん……?」

 優しく肩に触れる手と声。瞼を開けなくても誰のものなのかすぐに解る。

「グレイ?」
「ああ、起きられるか? アリス」
「起きる……?」

 さっきまで何か夢を見ていた気がする。苦しくて悲しくて、けれど甘い夢。

「まだ寝ぼけているのか?」

 前髪をかき上げ額に触れるグレイの手はひんやりとしていて気持ちが良い。

「うん、熱はだいぶ下がったようだな」
「ねつ……?」
「そうだよ。それも覚えていないのか? 熱があるから休んでいなさいと言っただろう?」

 そう言われれば……と思い出すのは、グレイに抱えられてこの部屋に戻った時の事。
 自分では微熱程度のつもりだったが、大事を取った方がいいとグレイに言われ(運ばれて)休んでいたんだった。

「うん。もう大丈夫みたい」
「だがもう暫くは寝ていなさい。少し声も掠れている……そうだ蜂蜜があるんだ。喉に良いらしいから、それくらいなら食べられるか?」
「……うん」

 数分してグレイが持ってきたトレイの上には、瓶に入った蜂蜜と一口サイズに切られた林檎があった。

「こうすると甘くなって美味しいと聞いたからな」

 そう言いながら適量の蜂蜜を林檎の上に垂らしていく。

「起き上がれるか?」
「うん。あのねグレイ。お願いがあるの」
「なんだ?」
「えっと……食べさせて欲しいな」
「……」

 予想していなかったアリスのお願いに一瞬だけ固まったグレイだがすぐに微笑み、アリスが取りやすい様にと差し出したフォークを手に取る。

「構わないよ。熱を出した時の君は甘えてくれるんだな」
「ダメ?」
「いや……いつも熱を出していて欲しくなるから困るよ」

 そんな言葉と一緒に差し出された林檎はとても甘くて美味しかった。
 ゆっくりと租借し飲み込み、口の中を空っぽにしたアリスはグレイの顔をジッと見つめる。

「もう一つ食べるか?」
「うん」

 餌付けをされる小動物のようにアリスは小さく切られた林檎を食べ続けた。
 その合間に時折過ぎるのは、さっきまで見ていたはずの夢の光景なのだろうか?
 苦しくて悲しくて、でも甘い……。

(大好き……)

 だんだんと忘れていく夢の内容、もうアリスが覚えているのはグレイに告げたその言葉だけだった。

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