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何でもない日おめでとう!



 ダイヤの国の駅組+アリス
 最初はフォロワーさんの誕生日用に書いたのですが、実際には別のグレアリをお渡ししたので使い道が無くなってしまったのでこちらでアップしてみました。
 ダイアリフライングSS





「どうしたの? これ」

 駅に滞在して暫く経った昼の時間帯。
 ボリスに呼ばれたアリスはとある部屋に連れて行かれた。
 ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは大きなテーブルいっぱいに載せられた沢山の料理。
 そしてその中央に置かれた、可愛らしいケーキ。

「バースデーケーキ! あんた誕生日だろ?」
「誕生日は別に今日じゃないよ?」
「そんなの解ってるよ! この世界に日付なんて無いようなもんだから。だから、なんでもない日おめでと~なんて言っちゃう奴らもいるんだし」

 それでも、アリスの誕生日の話を聞いたからにはお祝いしたい! とボリスは尻尾を揺らして、耳をピンとさせて笑顔で言う。
 その仕草に思わず笑みがこぼれる。

「ありがとう、ボリス」
「待て待て待て!アリスの誕生日を聞いたのは私が先だぞ!」

 なんとなく二人の雰囲気的なムードになったのを壊したのは、偉そうな子供の声。

「あれ? 居たの? 夢魔さん」
「最初から居たぞ! チェシャ猫!! まったく、アリスも私に気付かないなんてヒドイぞ!!」
「ごめんなさいナイトメア……あなたが教えたの?」

 誕生日の話をしていた時一緒にいたのはナイトメアだけだった。だからてっきり教えたのだと思っていたが、

「違うぞ。そいつが勝手に盗み聞きをしていただけだ」

 返ってきたのは意外な言葉。

「いいじゃんか! 一人で準備するよりも二人の方が楽だろ~。それとも夢魔さんはアリスと二人きりでお祝いしたかったの?」
「ぐぐぐ……そ、そういうわけじゃないが……いや、その」

 もごもごとアリスに聞こえない小さな声でぶつぶつと呟くナイトメア。
 アリスの知っている、今では夢の中で会うだけの『彼』の姿ならば色々と文句も言いたくなるが、子供の姿になるとはやっぱり可愛いと思ってしまう。

「私は、皆で一緒に過ごしたいな」

 にこりと微笑み、ナイトメアの目線に合わせてしゃがみ込む。

「そ、そうか! そうだろうな!!」

 とたんに胸を張り、今にも高笑いでもしそうなナイトメアを見て思い出すのは「私は偉いんだ!」といつも言っていた大人げない夢魔の姿。

(やっぱりナイトメアだわ)

 見知らぬ世界、見知った友人。でも彼らは皆アリスの事を忘れていて。
 だけど、もう一度友人になれると信じて彼らと過ごしてきた。
 それが少しだけ報われたような気がした。

「ア、アリス? どうしたんだ!?」
「どうしたの? 夢魔さん、何言ったの!?」

 気がつくと心配そうにアリスの顔を覗き込む二人がいた。

「え? 何が?」
「何って、あんた泣いてるし……」

 ボリスの指がそっとアリスの目尻に触れる。その指にはうっすらと水滴が見えた。

「ううん。なんでもないの……」

 嬉しくて涙が出ているなんて言えない。
 両目を軽く擦って涙を消し、にこりと笑えば二人もそれに合わせて笑ってくれた。

「あんたがそう言うんなら……じゃあ食べようか! ご馳走いっぱい用意したんだぜ!」
「だからそれを用意したのは私だと言っているだろう!!」
「手配したのは、俺だからね。夢魔さん」
「お前ら、何を騒いでるんだ? うるさいぞ」

 三人しか居なかった部屋に、もう一人『誰か』の声が聞こえる。

「グレイ!」
「あれ? トカゲさん遅かったね?」

 ごめんなさい、と謝ろうとしたアリスよりも先にボリスが声をかける。

「ボリス、グレイにも声をかけたの?」
「うん。だってあんたはトカゲさんとも知り合いだったんだろ?」

 ここを滞在地と決めたばかりの頃に、クローバーの国での様子を話した事を彼は覚えていたらしい。

「俺だって本当はあんたと二人きりでお祝いしたかったけど、すでに夢魔さんがいるからね。だったら人数多い方が楽しいかな~ってさ!」
「ありがとう、ボリス」

 後ろではまるで邪魔者扱いされたみたいだと怒っているナイトメアの声も聞こえるが、それすらアリスには懐かしくて嬉しかった。

「やっぱり余所者は変わってるな? 誕生日なんてもんにこだわるなんて」

 呆れながらアリスに近づくグレイ。

「私もずっと忘れてたわ…」
「じゃあこれは要らないか? まぁ俺が持っていても邪魔だしな、あんたにやるよ」

 さも面倒くさい事のように言いながらグレイはアリスに両手サイズの包み紙を手渡す。

「あ、ありがとう!!」

 ニッコリと微笑むアリス、その反応が照れくさかったのかグレイは彼女から視線を逸らす。

「ちょっとトカゲさん? 何、美味しいところを持っていこうとしてるの?」
「そうだぞ!! 最後に来たくせにズルイぞ!!」

 ブーブーと文句を言い続ける二人にうんざり顏のグレイはもう一度アリスの方を見ると

「ちゃんと渡したからな、俺は戻る」

 そう言って部屋を出て行ってしまった。

「あ、グレイ!! 待って」

 彼を追いかけてアリスも部屋を出て行く。見失ってしまうと思ったグレイの姿はドアを出てすぐの所にあった。
 まるでアリスが追いかけてくるのを解っていたみたいに……待っていてくれた。

「本当にありがとう」
「別に俺は何もしていない、さっさと戻れ。あいつらがうるさいだろ?」
「うん……でも、嬉しかったから。ありがとう」

 何度目になるか解らないお礼を言って部屋に戻ろうとしたアリス。だが、それを止めたのはグレイの声だった。

「待て、一個聞きたい事があった」
「何?」
「あんたの知る俺は、あんたにこうやって誕生日を祝ってやった事があるのか?」
「ううん。この世界にきて初めてよ」
「そっか……だったら良い。楽しんで来いよ」
「グレイは?」
「俺はいい。ほら、さっさと行け」
「う、うん。でも、時間があったら来てね?」

 アリスは今度こそ笑顔で部屋に戻って行った。グレイから貰ったプレゼントを大事そうに抱えて。

「……何を言ってるんだ。俺は」

 自分自身に対して芽生えた複雑な気持ちに呆れながら、グレイは部屋から離れて行った。

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Author:水青 奏
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