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ずるい恋人への対処法~ボリスの場合~



 ボリス×アリス
 ダイヤの国フライングSS……別名、ゲーム内でも恋人なやり取りが見たい!その2
 診断メーカーの結果・ ボリアリさんにオススメのキス題。シチュ:自室、表情:「泣きじゃくった顔」、ポイント:「膝抱っこ」、「自分からしようと思ったら奪われた」です。 を元にして書いてみました。





「おっかえり~アリス、早かったね?」

 ニコニコと恋人の帰りを出迎えたボリスの笑顔はすぐに消える事になる。
 てっきり一人で帰ってくると思っていたアリスの両隣には帽子屋屋敷の双子、そして彼らに挟まれる形で立つ恋人の姿は……見た事もない少女だった。

「お前ら、どういう事か説明してもらおうか!!」

 尻尾をばしばしと動かし、こめかみを引きつらせといういかにも怒っている様子のボリスを前に、ディーもダムも中々言い出せない様子。
 しばし続いた思い静寂を破ったのは、

「あなた、だぁれ?」

 という少し舌足らずアリスの一言だった。その小さな指はボリスを指している。

「だ、誰ってボリスだよ? お姉さん」
「そ、そうだよ! お姉さん」

 少女の姿になったアリスに対して『お姉さん』というのは物凄い違和感があるが、この場でそんなツッコミをいれる余裕のある者は誰もいない。ましてや、

「ちがうもん! この子はボリスじゃないもん!!」

 などと言われた日には……それは、その場にダイヤの城の女王様はいないのに空気を凍りつかせる程の威力があった。


        ○●○●○●


 一言で説明すれば、悪戯の失敗。
 小さくなるケーキのはずだったそれは、正確には若返りのケーキ。
 そのままの姿で手のひらサイズになったアリスで遊ぼうとしていた双子が目にしたのは、自分達のもう一つの姿よりも幼い姿になったアリスだった。
 しかも記憶まで少しおかしくなり、目の前にいる双子を『知らない人』と指差し泣き出してしまった。
 ディーとダムだと名乗って、『ちがうの!』の一点張り。元の姿に戻そうと大きくなるケーキをあげても何故か変化は無く。困った二人はこのままアリスをボリスの所に帰そうとした。
 幸いにもボリスの事は解るのか、彼の名前を口にしたとたんに泣き止んだアリスにホッとした二人は小さなアリスを真ん中に手を繋いで駅まで来たのだった。
 しかし、いざボリスを見ると

「ちがうの! この子はボリスじゃないもん!」

 双子の時と同様に泣き出してしまった。
 ひとまず駅に帰す事は出来たと、双子はそそくさと屋敷に戻ってしまい残されたのは泣きじゃくるアリスと困惑するボリスだけ。
 ここでナイトメアとグレイに会わせてもアリスが更に泣くだけだろうと、ボリスはなんとか彼女を説得して自分の部屋に連れて行った。

「えっと~……」

 今の彼女にとっては物珍しいらしい部屋の中を、キョロキョロと見て回るアリスの後姿を見ながらボリスはこれからどうしようかと考えていた。
 双子が食べさせたのはケーキ。この世界に出回っているおかしな効果のあるケーキは数時間帯すれば元に戻るものばかり。
 ならばしばらくこのままでいれば良いだろう……と楽観的になる反面、今のアリスが自分をボリスとして認識してくれないのが気になっていた。

「アリス」

 名前を呼べばすぐに振り向いてくれる。でもその表情は少し悲しげだった。

「あなたは、だれ?」
「俺はボリスだよ」
「ちがうもん、ボリスじゃないもん」

 アリスの瞳にじわじわと涙が溜まっていく、ボリスがまずいと思った時にはもう遅く、彼女は大粒の涙を零しながら泣き出してしまった。

「やだ! 違うもん!!」

 ただその二言を繰り返しながら泣きじゃくるアリス。なんとか宥めようと膝の上に座らせて背中をさすりあやしてみるが泣き止む気配全く無い。

「はあ……泣きたいのはこっちの方だよ……」

 ボリスの事は覚えている、でも目の前にいるのは違う。それはこの国で初めて会った時と似ていた。
 余所者であるアリスはすでに『ボリス=エレイ』と会った事がある、いやあるどころか友人関係にあった。
 もしもあの時のアリスが今みたいな幼い姿だったら、きっと目の前にいる自分を『違う』と言っていただろう。
 自分自身でもそれは違うよ、俺はあんたの事を知らないと、きっぱり告げた。
 あの時はなんとも思わなかった。面白いこともあるんだなぁとその程度の感想だった、だけど。
 見知った人物に『違う』と、そう言われる事がどれ程辛いものなのか……ボリスはやっと理解出来た。

「きついな、これ……」

 泣いてしゃくりあげている小さな躰に覆いかぶさるようにボリスは身を屈め、その肩に自分の額を押し当てた。
 『知らない人』にいきなりそんな事をされてアリスは余計に泣き叫ぶのだろうと思っていた。
 しかしいつまでたっても泣き声は聞こえてない。
 その代わりにアリスはもぞもぞと腕を伸ばし、その小さな手でボリスのピンク色の髪を優しく撫でていた。

「ん? 何、どうしたの?」
「な、なかないで……」
「泣いてないよ、ほら」

 腕の力を弱め、躰を離しアリスの視界に泣いてない自分の顔が入るようにする。
 それでも彼女はボリスを撫でようと、その小さな腕を必死に伸ばす。

「でも、なきそうなの……だからゴメンね? ボリス」

 そう言って今度は上半身をぐぐっと伸ばし始めたアリス。その行動の意味が解らないボリスはただジッと彼女を見つめるだけ。

「む~。と、とどかないの」
「どうしたんだ?」

 またウルウルと瞳に涙が滲む。でも今度は泣かないという意思表示で、そのすでに泣き腫らして真っ赤な目をごしごしと擦る。

「あのね、チュってしたいのにとどかないの。ないてるときにはね、チュってすればいいっておしえてもらったのに」
「チュ……はっ!? だ、誰かそんな事教えたんだよ」
「ん? ボリスだよ?……あれ??」
「はあ~なにしてんの? 俺……」

 なにが悲しくて自分自身に憤慨して嫉妬しなくてはいけないのか。
 そんな不毛過ぎる気持ちを誤魔化すように、ボリスはもう一度身を屈めて、アリスの目尻にそっと口付ける。

「ひゃっ!? ボリスずるい!! わたしがするの!」
「泣いてたのはあんたの方なんだから良いんだよ。それにずるいのもあんたの方だよアリス。こんなに小さくなっても性質が悪いなんてさ」

 早く元に戻ってよ、アリス。そしたら沢山キスをしよう。
 心の中で呟いたその願いが叶ったのは薬の効果が切れた数時間帯後。
 小さくなっていた間の記憶が無い為、気がつけば恋人の膝の上にいたという状態に困惑しているアリスをよそに、嬉しそうに尻尾を揺らしながら何度も何度もキスをするボリスの姿がそこにあった。

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