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桜模様の錯覚



 グレイ×アリス
 ダイヤの国のアリス設定
 ネタバレあり

 ちゃんとゲーム後に書いているのに捏造設定だらけになっている不思議。
 ゲーム中のやり取りで、ジョカアリの春イベを思い出したので書いてみたかっただけです。
 グレアリというほど恋愛要素はありません。




 帽子屋屋敷での件もとりあえずは解決し、アリス達が正式に駅で働き始めて少し経った頃。
 買出し用のメモを片手に必要なものを買い揃えていたアリスの耳にそれは入ってきた。

「きゃあああ!!」

 女性の悲鳴。それを切欠に騒然とするバザール内に、アリスは思わず走り出していた。

「誰か刺されたぞ」
「また抗争なの!?」
「そんな! 早く逃げないと!!

 悲鳴の聞こえた方に近づこうとするアリスとは反対に、逃げていく人達の声がすれ違い様に聞こえる。

(抗争? でも銃声はしない……これはむしろ……)

 以前にも似たような事があった。
 あの時も女性の悲鳴が聞こえて、隣にいた双子達がすぐに彼がやったのだと気付いて……その時もアリスは思わず走り出していた。
 確かめたくて――

(今度も私は何か確かめたいの?)

 でも何を?
 自分の中に出た迷いは、走る足にも影響を与え速度が少しだけ落ちる。そしてそれとほぼ同時に、突然横から腕を引かれアリスは何者かの手によって路地裏に引き込まれた。

「っ!? んんん!!」

 声をあげられないように口はもう片方の手で押さえられてしまう。

「ったく、何をやってんだ? あんたは」
「!?」

 上目遣いで自分を押さえ込んでいる人物を見れば、そこにはアリスの予想通りの人がいた。
 微かに血の匂いを纏わせたグレイが。

「あんたも懲りないな? 俺は言ったよな……用が無いなら帰れと」

 もう忘れたのかと、最後まで言わずともその見下ろす鋭い視線で言わんとしている事は解る。

「はあ……今度はなんだ?」
「……貴方がやったの?」
「ああ、まぁな」

 前回よりも歯切れが悪いのは、彼がすでに暗殺者ではないからだろうか?
 依頼を受けた上での殺しではない。もしかしたら、これは彼自身の意思で……。

「どう、して?」
「あんたに言う理由も義理も無いだろ?」

 そう返ってくるのも予想出来た。それは優しさからではなく、ただ関係が無いから。
 けれどアリスの足は前回同様に動く気配がない。

「ほら、さっさと行け。前にも言ったよな? 仕事後の暗殺者に関わるなと」
「今の貴方は、暗殺者じゃないわ」
「ちっ……揚げ足取るんじゃねえよ」

 アリスがいなくなったら火を灯そうと銜えていた煙草を放り、グレイはじりじりと彼女を後ろに追い詰めていく。
 狭い路地裏で、元から距離は近かった二人だ、あっという間にアリスの背には冷たい壁の感触が。

「あんたが悪いんだからな――」
「えっ!? んん!!」

 以前では痛すぎるデコピンだった。でも、それをまた喰らう方がまだマシだったのかもしれない。

「んっ……あ!」

 キスというには可愛さの欠片もない口付け。以前に不意打ちのようにされたものよりも熱く、どこか逃がさないという意思も込められているように感じる。

(さっきは、どこかへ行けって……帰れって言ったくせに)

 直接言い返せない代わりに心の中で文句を言うが、口唇を塞ぎ続けている男にそれが伝わるわけもない。
 うまく息継ぎが出来ず、だんだんと息苦しさから躰の力が抜けていく。

(もう、ダメ……)

 限界だと、認識した瞬間にずるずるとアリスは膝から崩れ落ちる。
 座り込んでしまう前にグレイが支えてくれたおかけで何とか立ててはいるが、酸欠のせいか目の前がチカチカと点滅したような感覚に陥る。
 おかげで、僅かながら心配そうに自分の事を見ているグレイにも気付けていない。

「大丈夫か? 少しやりすぎたか」
「……」

 ぼやけた視界で、それでも自分をこんな目に合わせた人物を睨みつけようとしたアリスのその視界には有り得ないものが飛び込んできた。

(何? これ)

 ヒラヒラと風に舞いながら落ちていく薄いピンク色。

(有り得ないわ……こんなの、だって……)

 季節なんて存在しない世界。それはハートもクローバーも、そしてダイヤの国でも同じ。
 ある一定の過ごしやすい気候を保ったこの世界でこんな花は見られないはず、存在しないはずだ。

(さくら……)

 風に舞うそれは桜の花びら。さっきまで夕方の時間帯だったのにいつの間に夜になったのか……夜空に舞う花びらは美しく、そしてどこか懐かしい。

(前にも、どこかで……)

 こうやって桜を見た、そして今のように――

「グレイ……」

 未だにはっきりとしない視界で、ぼやけるグレイの姿がほんの一瞬だけ別人の様に見えた。

(ううん、これもグレイだわ)

 今では懐かしいとすら感じてしまう、クローバーの国での彼の姿だ。
 記憶を辿っても彼と桜を見に行った覚えなどない。無いはずなのに……

「おい、大丈夫か?」

 さすがにいつまでも呆けたままのアリスに、不安になったグレイは支えていた腕に力を込めて彼女をしっかりと立ち上がらせる。

「え、ええ……」
「……さっきのは、元の同業者だ。先に仕掛けようとしてきたのは向こうだ」
「え?」
「適当に殺した訳じゃねえし……まあ後々面倒くさい事になるから始末しただけだが、元の職場に戻る気はないさ」
「……」

 それが彼なりの説明だという事は解っている。
 でもそれに対してなんと答えたらいいのか、今のアリスには解らない。

「はあ……あんたは、怖くないのか?」
「こわい?」
「俺はたった今、人を殺したんだぞ? そこらへんの奴らですら人が死んだのを目撃すれば騒ぎ出す。なのに余所者のあんたはどうしてそう……」

(以前の私はなんて答えた?)

 意味が違うのは解っている。
 それが自分自身の記憶では無い事も解っている。
 でも、いつかの自分はこう答えた。そして、今現在のアリスも同じように答える。

「怖くないわ……」

 そう答えた瞬間に、桜の花びらは消え去り、空はまたオレンジ色に戻った。
 アリスの中に一つの気持ちを芽生えさせて、幻は消えた。

コメントの投稿

secret

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comment

カッコイイー///

きゃぁー!!グレイさん超☆絶☆カッコイイですねー(^◇^)惚れる!ってか惚れ直した////私はダイアリまだ購入してないんで、暗殺者のグレイさんには会ってないんですが・・これは早急に会わなくては!!やっぱりグレイ、良いですね~今回は危険な雰囲気あり☆だしwww。何時も作品読みに来てます♪どれも大好きな作品なので、これからも遊びに来たいと思っています!なので、またコメ書かせて下さい!!ずっと応援してます!

Re: カッコイイー///

 遥那 様
いつもありがとうございます!
暗殺者グレイカッコイイですよ~クローバーでのグレイと似ているところと違う部分があるのが。
詳しく語るとネタバレになってしまうので、自重しますww
遥那さんも、是非ダイアリプレイしてグレイに会ってください!

プロフィール

水青 奏

Author:水青 奏
好きなもの
・SOPHIA
・SoundHorizon
・乙女ゲー
・文字書き

初めましての方はまず
『始めに』をご覧ください。

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